第9話 神殿2

 その後は、フロラリーと一緒に隣の孤児院に移動して子ども達にお土産のお菓子を配る。

「ジェロ兄、ありがとう!」

「何これ、すごく美味しい!」


 子ども達にお菓子が行き渡り、無邪気に食べる姿を見守る2人。

「本当、冒険者ギルドはジェロに合っているようで良かったわ。計算が得意だから見習いに行った商家は接客で苦労したものね」

「うん……今のギルドは裏方業務ばかりだから大丈夫だよ。心配しないで」

「そうね、良かった。でね、ジェロ、もっと孤児院に顔を出してね、子ども達のためにも。それと、いつも給与から寄付をありがとう。でもあれは貰いすぎだわ。もっと自分の生活のために使ってね」

「いや、冒険者ギルドからは食事も出る住居を与えられているから」

「なら、なおさら自己研鑽や将来のために、ということよ。きっと給与の半分ぐらいをくれているのでしょう?給与の2割以上は貰えないとマスターにお願いしておくわ」

「そんな……」


「あら、司祭様」

 帰って来た司祭たちのところにフロラリーが早歩きで向かう。司祭ローランスへ向ける笑顔がまぶしい。

『本当にお似合いの美男美女の夫婦ね』

『そうだな……』

『あら張り合いのない』

 ジェロの5歳ほど年上のフロラリー、さらにその5歳ほど年上のローランス。前世のカトリック教徒の司祭とシスターなら共に結婚しないはずだが、この世界では結婚できるようである。


「ジェロさん、いつもの孤児院への寄付、そして今日もお土産ありがとうございます。また今回は我々が不在にしていたことで危なかった女の子をお助け頂いたとのこと、ありがとうございました」

「いえ、元々ここで育てて頂いたことに比べれば……」

「そう、シスター・フロラリーもあまり会えずに寂しがっています。本当にジェロさんのことは実の弟のようなんでしょうね。お忙しいと思いますが、ときどきは顔を見に来てやってくださいね」

「はい……」

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