第3話 駄菓子屋のオバハン

仲間のA君が素晴らしい計画を提案した。


駄菓子屋のおばちゃんからの監視を緩めるには


店先からおばちゃんを遠ざければいいと。




A君の案とは。




店の看板に電話番号が書いてある。


駄菓子屋の電話は店の奥にある。


電話を受けている間は監視が無くなる。


仲間の一人が公衆電話を使い駄菓子屋に電話。


おばちゃんが店の奥に入ったタイミングで


俺達は持てるだけ持って逃走する。




実行してみた。




電話が鳴るとおばちゃんはソワソワ。


かなり落ち着きがなかった。


しかし俺達から目が離せない。


なかなか鳴りやまないベル音におばちゃんは


ついに


「お前らッ!電話から戻るまで一切お菓子に手を触れるな!」


そう強く言い残して店の奥に入った。


その瞬間、俺達は持てるだけのお菓子を頂き


走った。






俺は押しガム1箱を脇に抱え、ポケットには


詰め込めるだけのセコイヤチョコやスナック類。


他のメンバーもポケットに詰め込み激走。


基地に戻り各々の品物を披露した。


メンバーの1人がアイスクリームを10個ほど


取って戻っていた。




俺はめちゃワクワクした。


きっと、あの普段買えない高級アイス・・・


チョコバリがあるだろうと


楽しみに近寄った


ら?


えっ!う…うそぉ~?


俺達がいつも喰っているアイス…王将のみ。




なんでやねん!




と叫んだかどうかは記憶にないが


空腹は満たされ、基地で遊んでいた


他の子達にも分け与える事が出来た。




ちなみに押しガムとは、ボタンを押すと

丸いガムが出て来る。

当たりが出たらアイスがもらえる。


青ガム30円アイス、黄ガム50円アイス

赤ガム100円アイスがもらえていた。


俺は1箱頂戴した。当たりガムが

何個入っているかを確認した。




入ってない。




当たりガムがない。




あのクソババァッ!


小学生に詐欺まがいな商売をしていたとは。


実に残念だ。裏切られたと思った。




しかも俺達は小学生だが客の立場!


一応お金は持っている。


それなのにあのクソババァは俺達に


「お前らッ!商品を触るな」等のひどい発言


この時俺はこんな大人にはなりたくないと


強く思った事は今でも鮮明に覚えている。

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