第6話 古き物語

 「スランプちゃん、

  人間が本物のドラゴンを見た時にどんな反応すると思う?」


 「そうだね、ビビるか、ちびるか、気を失うね!」


 「でしょ、だから、私のバディはなかなかいないのよね、

  でも、龍族を倒した人間なら、私と組めると思うんだ。」


 「人間が龍を倒せるんですか?」


 「タイタニアに伝わる古い物語では、大昔にジークフリートという英雄が

  邪悪な龍を倒したと伝わっているし、太古の日本には、突然変異の化け物

  八岐大蛇を英雄が倒したというものが伝わっているけど、人間の武器で龍を

  殺せるなんて信じられないわ。」


  「ヤマタノオロチですか、怖そうな名前ですね。

   どんな言い伝えなんですか」


  「突然変異を起こした頭が八つの龍としてこの世に出現した龍という話

   だけど、頭が八つなんて想像つかないわ!タイタニアの四大カラー

   ドラゴンが同時に襲っても倒せない龍言われているのに、

   その龍を倒しちゃった人間がいたらしいの、どんな卑怯な手を使った

   としても、やはり疑わしい伝説ね!」


  「まるで、キングギドラを人間のサムライが倒したような話ですね、

   やはりナシナシですね。」


 「その英雄、日本では神様扱いされてけど、ちゃんとした人間みたいで、

  草薙剣を持つ男スサノオ!もし、本当にオロチを倒したなら、

  私のバディは決まりだわ。」


  二人は、時を遡り、諸国漫遊中のスサノオの前に立った。

  

  スサノオは、二人の姿を見るなり、草薙の剣を構えて、


  「そなたら、この国のものでないな、異国のもの?

   奇妙な生き物もいる。何者ぞ。」


   竜崎は、じっと草薙の剣とスサノオを鑑定能力を秘めた龍眼で見つめ、

  

  「ネェ、あなたがスサノオ?草薙剣の使い手の?

   何かイメージと違うわね!」


  目の前の質素な身なりの男は、そうだ、と言い放ち、

  剣をに向けた。


  竜崎が切り出した?

  

  「あなた人龍でしょ?

   おかしいと思ったのよね、普通の竜ならともかく、

   八岐大蛇なんて化け物、酒程度で酔わせて戦闘不可能にするなんて

   不可能!ましてや切り刻むなんて、無理!

   それにその剣で雷は呼べても、切り刻めないわよ。

   だからあなた自身が、異龍の八岐大蛇の正体ね。」


  スサノオも、同行していたスランプも言葉を失った。


  「えーっ、このお兄さんが龍に変化するんですか?

   何で、どうして、」

   スランプは、どうしての合点がいかないようだった。


  竜崎は、

  「呪いよね、英雄ジークフリートは、血を浴びて不死の呪いを

   受けたけど、あなたは何が起きたの?」


  スサノオは、虚な目で、

  

  「ああ、この国と異世界の裂け目が生まれた時、竜が数体この国に

   入り込んだ。大君の命で、私は、各地に赴き、草薙剣で、稲妻を

   この剣に纏わせ、各地の竜を焼き殺し、その血肉を食らい、酒を

   飲んだ。ちょうど、最後の竜の肉を食らい酒を飲んだ瞬間に、

   私は意識を失った。気がつけば、近隣の村々を破壊し尽くし、

   焼き払っていた。それが八岐大蛇の正体さ!」


  悲しげな、顔で、スサノオは言葉を続けた。

  

   「大君より、ヤマタノオロチと命名された龍を討伐の命が下ったとき、

    私は自害を選んだ。でも、剣が身体を貫けぬのだ。それで、私は酒を

    断つことにした。以前、食らった八つ色の違う角を大君に差し出して、

    オロチ討伐が済んだと報告後、私は旅に出た。だから、

    もうヤマタノオロチはこの世に出ない。」


  「血を浴びただけでも厄介なのに、食べたのね、

   僕たちスライムの悪食でもドラゴンは遠慮したいのに。」


  スサノオは、竜崎を見つめ、

  「そなたは龍の娘なのだろ、匂いが違う。

   敵討ちなら、討たれてやろう。」といい草薙の剣を地面に刺した。

   その瞬間に雨雲一つない快晴の空から、雷鳴が聞こえ、稲妻が剣に落ち、

   草薙の剣は、眩しい光を放っていた。


   「スランプちゃん、この人で決まりでいいでしょ。

    人間だし、条件に合うわよ。

    ネェ、スサ君!

    私は古代の竜の敵討ちに興味はないわ。

    それより、私の相棒になって、世界を救うのよ?

    まぁ、それで私の同族を殺して食べた件はチャラ!」


   世界を救うという言葉に反応して、スサノオは、興奮気味に

 

   「大きな戦があるのか、このヤマトを脅かすような戦が?」


    スランプは、

    「ヤマトの遠い未来日本で、この世全てを巻き込んだ戦い

     になることは間違いけど、どうする、来るかい?未来へ!」

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