その後
「おい、種馬」
とチェルシーが言った。
チェルシーは二足歩行をする不思議な猫で、日本語で犬と書かれたTシャツを着ている。
種馬、とは俺のことを呼んでいるのだろう。
俺は机から顔を上げた。
俺はアクセプトという小国の王様である。
様々な混乱が収まり、我がアクセプトの国は人口が急激に増加していた。
だから様々なモノが間に合っていなかった。人が住むための建造物、食料、仕事。
法律も間に合っていない。
だから俺の仕事は莫大だった。色んな資料に目を通し、色んなモノに許可を下さなければいけなかった。
急激な人口の増加は、年齢の偏りにも繋がる。その偏りのまま人口ピラミットが形成されてしまえば急激な少子化問題にも繋がってしまう。
国は成長を続け、子ども達は子ども達を産み続けなければいけない。どこかで推移するのだろうけど……。
だから未来の事を考え、政治を行わなければいけなかった。
政治をする人間である。種馬、とは失礼である。
机から顔を上げると、可愛らしい2人の子どもがチェルシーをぬいぐるみのように抱きしめていた。
いや、抱きしめていた、という表現をするには生ぬるい。プロレスごっこをしているのかな? 首を絞められたり、尻尾を噛んだりしている。
子どもが仕事部屋に入って来てしまったんだろう。
2人の1歳児は二卵性の双子だった。男の子と女の子。
2人とも頭に獣人特有の耳が付いて、尻尾も付いていた。
ナナナと俺の子どもである。
「お妃4人衆はどこ行ったんだよ? 誰でもいいから早く子どもをココから追い出せ」
とチェルシーがキレている。
「噛むんじゃねぇー。ぶっ殺すぞ」とチェルシーが叫んだ。
すると双子の1歳児が「え〜ん、え〜ん」と泣き始めた。
「嘘に決まってるじゃねぇーか。尻尾なんていくらでも噛んでいいんだからな。いや、甘噛みだぞ。優しく噛むんだぞ。わかった。ベロベロバー」とチェルシーが必死にあやしているけど、双子は泣き止まない。
「よしよし」
と5歳の女の子が、泣いている1歳児の双子の頭を撫でた。
「愛ちゃん、どうにかしてくれよ」とチェルシーが言う。
5歳の女の子。
イライアと俺の娘である。
褐色の肌の女の子だった。
「そんな叫んだら」と愛ちゃんは、舌ったらずな口調で言った。「泣くに決まってるでしょ」
「グハハハ」と上半身裸でツルッパゲのバランが笑った。
「チェルシーは子どもの扱いが下手クソだな」
バランの腕には4歳の男の子が抱かれていた。
ミナミと俺の息子である。
「そういうお前は子どもの扱いが上手なのかよ?」
とチェルシーが言った。
「子どもの扱いなんて簡単なんだよ」
とバランが言う。
彼はズボンのポケットから金貨を取り出す。
「コレをやるから大人しくしろよ」
「うん」と嬉しそうに金貨を手に取って、息子が頷いた。
「買収してるだけじゃねぇーか」
とチェルシーがキレていた。
誰かに膝をチョンチョンと触られた。
隣を見ると4歳の女の子がいた。
耳が長くて色白の女の子である。
「お父様」と小さい声で女の子が言う。
女の子はアニーと俺の子どもだった。
俺は彼女を膝の上に乗せた。
仕事部屋が、勝手に入って来た子ども達でギャーギャーとうるさい。
だけど幸せだった。
幸せで、幸せで、胸が苦しくなる。
いつか日本に置いて来てしまった娘の事を思い出す。
俺は膝の上に座った女の子の頭を撫でた。
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お久しぶりでございます。
『性奴隷を飼ったのに』をその後を書きたくなって、久しぶりに書かせていただきました。
また、いつかヒロイン達とのその後も書きたいな。
性奴隷を飼ったのに お小遣い月3万 @kikakutujimoto
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