Runaway・Dreamer

The True

「……落ちないな」

「汚、れが落ちな、い人形……追いか、けてくる男……」

　全く落ちる気配がないぞ……。まるで汚れが取れないように作られているかのように。

「も、もしこれが夢だっ、たとしたら、ここ、これって暗示に、な、なるのか、な？」

「夢……つまり、精神魔法で夢を見させられている可能性、と？」

「うん」

「なるほど、その場合追いかけられる夢ってことになるのか……？追いかけられる夢はたしか……」

「で、もその力は、逃げる力……だか、ら逃げる夢な、んじゃないか、な？」

「……それもそうだな、ああ」

「まぁ、占いな、んてわからないし、私は……」

「俺もさっぱりだ」

　結局、お手上げってわけか。

　しかし、夢か……逃げる……夢……

　そういえば何でRunaway・Dreamerなんて名前をつけたんだっけ……。

「うーん……」

「どうする？にんぎょ、うの汚れなかなかと、れないけど」

「うーん……いっそ燃やしてしまうとか？でも取り返しのつかないことになる可能性もあるのか」

「取り敢えず、なにかしよ……う、大丈夫、なんとか、できるよ、ご主人様なら」

「ご主人様って呼び方やめてくれ……」

「じゃあ、何て呼べ、ば？」

「あれ、俺の名前言ってなかったっけ？言ったきがするんだが……」

「ううん、教えられて、無い」

「なら教える、俺の名前は……」

　……あれ？やっぱり同じ会話を前にしたことあるような……。

　いつだったっけ……。あ、そうだ……あれは……

「あー、思い出した。いや、思い出しちゃっただな」

「？」

「そうだったな、俺は……」

「自殺したんだったわ」

　後編　~Dreamer~

　彼は昔、ある奴隷の少女を助けた。

　その少女は彼を慕っていたが、嫌いなものからすぐ逃げる彼(本人は自分をクズと表現していた)は……

　ついには、自分の手で命を断ち、現実から逃げ出した。

「全部思い出したらここではどんなこともできるのがわかった……Runaway・Dreamer（ラナウェイドリーマー）は逃げ続けた俺の末路……か」

「さ、さっきから何を……？」

「……いや、何でもない。そうだな、俺としてはもう一生(既に死んでいるのに一生とはこれ如何に)ここにいたい気分だよ」

「私は、どんな理由があっても、前に進むのを諦めるなんてことは、したくない。大丈夫、何があってもご主人様……貴方についていくから」

　そういうやつだったな、リアルのお前も。

　逃げ続ける俺を叱って……でも、そんなエスからも俺は……。

「……今回逃げたら、その先は地獄かな？」

　どうやら。

　地獄も良いかなと思ってしまった俺は性根に逃げ癖が染み付いているらしい。

　ホントに、逃げてぇ……