第4話

 鵺山市に住む、老退役軍人の辺見方二郎は、若かりし頃は海兵隊員として海賊と戦ってきたが、現在は年金を貰いながら、入院中の妻の身を案じ、親友と喫茶店でインベーダーゲームを楽しみながら公共団地で余生を過ごす日々を送っていた。

「若い頃はよくやったもんだ。今じゃアプリゲームとかいろんなのが出たな」と、親友。

 だが、団地の周囲は今や不良青少年、マサキや麻薬密売人達による犯罪の巣窟と化していた。ある日、彼はギャングたちが巣食うトンネルを迂回することを迫られたせいで、妻の死を看取れなくなってしまった。 追い打ちをかけるように、親友が彼らに逆らったばかりに殺されてしまう。悲しみに暮れる方二郎、警察は何もしないことを悟り、ある決意をする。


 小城家の研究家を祖父に持ち、その血液の研究をしている水沼麦子は、ついに探し求めていた小城の血液を鵺山市の西にある洞窟の中で手に入れる。


 2025年9月1日、大手製薬会社、鵺山製薬の薬品開発部長の目黒茂助が交通事故で病院に運び込まれたが、手当てのかいなく死亡した。だが、その治療の最中、麦子が保管していた例の小城の血液が手違いで石川に輸血されてしまっていた。


 そして3日の夜、目黒は蘇った。驚く麦子。しかし、目黒は自分が死んだという感覚すらなく、しかも小城として蘇っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る