ゆりゆりゆらら

バブみ道日丿宮組

お題:素朴なエデン 制限時間:15分

 大学をサボった。

 それはまさしくそのとおりなはずなのだが、

「すごいわね、ここ!」

 どうしてこんな自体に。

「……静かにね」

 せっかくの趣味ロードが一瞬にして羞恥心ロードに変わった。

 新しいグッズでも買おうと勢いづいてたのに、この状況では楽しむわけにはいかない。

「これはなにかしら?」

 問題である彼女自身は気にした様子もなく、店の奥の方へと行ってしまう。

 容姿が可憐なお嬢様キャラを一人にできるわけもなく、後に続く。

 店内はピンク色のライトがわんさかある……いわゆるR18ショップ。あらゆる性に関したアダルトグッズが並べられてる。彼女がきれいとか手にとるのは、ローションであったり、アナルビーズであったりと、こちらがダメージを負うものばかりだ。

 僕がうまく反応できないでいるので、彼女は率先として『どんなものなのかしら?』と近くに並べてあるDVDを取り、内容を熟読。才能がある彼女はそれだけ見れば、達人の域にも達するかもしれない。

 彼女は顔を赤らめることはない。僕が逆に赤面してしまいそうだ。

「今度一緒に使ってみましょう?」

 なにその勧誘……いらないんだけど。

 確かに彼女は可愛い。でも、僕はそうでもない。彼女と裸でばったりなんてすれば、否応なしに僕自身が苦悩する。

 ないものがなく、あるものがある。

 そんな身体じゃないのだ。

「私たちの街にこんなお店があるなんて知らなかったわ」

 彼女の持つショッピングカゴに色とりどりなものが入ってく。

 彼女とのお付き合いはまだ始まったばかりだけど、いきなり難易度が高いステージはまだいらない。自分で自分をいじめるのが精一杯の努力で、彼女の体液を感じるのはまだまだ先のことだと思う。

「お会計してくるわね」

 店内をある程度徘徊すると、笑顔で彼女がレジへと向かってった。

 アダルトショップが初デートなんて……これでいいのだろうか。

 店内に客がいないのが幸いか。

 特に男性客とかいなくてよかった。

 間違って彼女が連れ去られるようなことがあれば、正気ではいられない。

 僕は僕自身を守れないのだから、彼女を守ることもできない。

 彼女はどうなのだろうか。

 一般な女子というのを僕はあまり知らない。

 友だちと呼べるのは指数本の人しかいない。

 そのたった一人が恋人になっただけのことだ。

「……ふぅ」

 このあとはどうするのだろうか。

 入ったことないあの休憩があるホテルにでも連れ込まれてしまうのだろうか。

 彼女の後ろ姿からは予測ができない。

 幸せな花園……それはエデンかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゆりゆりゆらら バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る