第8話 背中から伝わる彼女の……


 「奏真さん、おはようございます!」


 マンションの地下にある駐輪場で出発の準備をしていると不思議そうな表情を浮かべているレヴィアがやってきた。


 「このマンション、地下に駐輪場なんてあったんですね」

 「なんか使ってないのが多いみたいだけどな」


 基本的にこの学園都市区域は駅にも区内にある学校には徒歩で行けるところが多いのであまり自転車などの足は必要とされていない。大きい荷物はショッピングサイトから郵送で送って貰えば良いわけだし。


 「でも、奏真さんが今、乗っているのって、バイクですよね?」


 レヴィアは目の前にある俺のオートマ式のバイク、ビックスクーターを指差していた。


 「そうだな……よっと!」

 

 俺はシートから飛び降りる様に勢いをつけて降りる。


 「免許持っていたんですね」

 「何でそんな意外っていいたそうな顔をしているんだよ……」

  

 レヴィアはクスッと笑いながら「ごめんなさい」と謝る。

 

 バイクの免許は去年の誕生日に合わせて恭一と一緒に取りに行った。

 理由は簡単、持ってた方がモテそうな気がしたからだ。

 ……もちろん役に立つことはなかったけどな、これまでは。

 

 「それにしても、今日は何かいつもと違う感じだな」


 そう言って俺はレヴィアを見る。


 「奏真さんの言う通りの服装にしてみたんですが、変じゃないですか?」


 今日の彼女の服装はいつものワンピースを基本としたものとは違い、今日はグレーのボーダーカットソーに白のパンツ姿。

 背中には小さめのリュックが見えた。


 昨日の夜に、レヴィアにはいつもとは違う服装にしてくれと頼んでおいた、理由はバイクで移動するにあたり、スカートだと色々と危険だからと判断したからである。


 「いつものも清楚な感じがしていいけど、たまには違う服装のレヴィアも新鮮味があっていいな」


 もちろんお世辞では本心。


 「ありがとうございます、奏真さんもいつもとは違いますね」

 「そうか? あまり変わらない気がするけどな」


 普段はTシャツにジーパン姿で、今日はTシャツの上にライディングジャケットを着ているだけなんだけどな。

 

 レヴィアと話していると、スマホがズボンのポケットの中で震えており。画面を見ると恭一の名前が表示されていた。


 『ちゃんと起きてるようだなー』

 

 着信ボタンをタップするとのんびりした声が聞こえてきた。

 

 「起きてるぞ、ってか何で雫なんだ? 恭一はどうした?」

 『キョウくんはいまお手洗いに行ってる、戻ってきたら出発するって行くって伝えといてと言われたんだ』

 「それじゃ俺たちもボチボチ出発するから、恭一に気をつけてなと言っておいてくれ」

 「わかったー、それじゃ現地でなー」


 そう言ってすぐに通話が終了する。

 

 「そろそろ出発しますか?」

 「恭一たちも出発するみたいだし、俺たちも行こうか」


 バイクのハンドルにかけてあるヘルメットを取り、レヴィアに渡す。

 受け取ったレヴィアはヘルメットを被る。

 

 「きつくないか?」

 「大丈夫ですよー」


 ヘルメットの中で声が籠るので声が聞こえないと思ったのか

 レヴィアは腕全体で大きく丸を作っていた。 

 

 俺も自分のヘルメットの被り、バイクのエンジンをかける。

 夏休み前に整備に出していたから調子がよさそうだ。


 ヘルメットの顎元にあるボタンを押して、レヴィアに向けて声をかける。

 

 「ひゃっ! 耳元から奏真さんの声がします!」

 「こっちも聞こえたから、これで運転中も話ができるな」


 恭一や雫とツーリングするのに会話ができなくて寂しいということで専用のインカムを購入していたのである。この間、必要なものを買いに行った際に、バイク専門店でレヴィア用のものを買っておいた。

 それなりの値段はするが、レヴィアと話せるなら値段などプライスレスだ!


 「奏真さん、これってどこに捕まればいいんですか?」

 「一番安全なのは、全体重を俺に乗っけることだけど」

 「こう……ですか?」


 レヴィアはすぐに自分の体を俺の背中に密着させる。


 「ぐおっ!?」

 「え……!? だ、ダメでしたか?」

 「いや、ダメっていうかむしろ良すぎるっていうか……」


 背中からレヴィアの肌の感触が全身に伝播わってきたので思わず変な声が出てしまっていた。

 あえてどことは言わないが、一部分からも柔らかい感触も……


 「そ、それで、両腕を俺のお腹の辺りを覆うようにして」 

 「は、はい……!」


 レヴィアはゆっくりと俺のお腹の辺りに両腕を持ってくる。


 「こ、これで大丈夫ですか?」

 「お、オッケー! それじゃ発進させるぞ!」


 アクセルを廻してゆっくりとバイクを走らせていく。

 地下駐輪場から地上にでると、夏の太陽が俺たちを照らしていた。

 

 今日の天気は雲ひとつない晴天!

 バイクを走らせるには絶好の日和。

 しかも背中には俺にピッタリと体を密着させている彼女。

 何て言うか最高の日じゃないか!


 「それじゃ出発するから、しっかり捕まってろよ!」

 「はい! 安全運転でお願いしますね……!」 


 左右安全をしてから目的地への道に入ってスピードを上げていった。

 

 ==================================


【あとがき】


お読みいただき誠にありがとうございます。


少し短めですが、今日はここまでになります

明日もお楽しみに!


■作者の独り言

書いててバイクで走りたくなってきた!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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