彼女2~2
ご馳走さま
「ご馳走さま」
そう言って、雪那ちゃんはオムライスを食べ終わった。
「ママ、お菓子食べていい?」
「うん」
そう言うとお菓子を取り出して、食べ始める。
私は、食べ終わった食器を下げる。千秋を見つけなければ、二人を助ける事など出来ない。私は、食器を洗う。
この生活は、いったい何なの?
ブー、ブー、スマホのバイブ音が聞こえてお皿を洗う手を止めた。
【梶田】と書かれている。
「はい」
『葵ちゃん、まだ?』
「はい?」
『はい?じゃなくて、今日母乳くれる日でしょ?』
「はぁ?」
『はぁ?じゃないんだけど、毎月10日に母乳5袋もらう約束してるだろ?一袋2500円で買ってるだろ?何してんの?』
母乳を売ってる?意味がわからない。
「どうすればいいの?」
『何?記憶喪失?いつもの袋に入れてもってきてよ!葵ちゃんちの近くの公園で待ってるから』
「わかった」
電話が切れた。母乳を売っている!いつもの袋とは何?私が、うろうろしていると…。
雪那ちゃんが近づいてきた!
「梶兄ちゃんに持ってくの?」
「何を?」
「母乳でしょ?はい」
そう言って、袋を差し出された。搾乳器というのも渡された。
「知ってるの?」
「うん!後、5人ぐらいに渡してるでしょ?」
「ああ、そうだったね」
私は、そう言って笑って母乳を絞り出した。何をしてるの?私には、タナベアオイという人間像が全く浮かばない。
兎に角、こんな生活は嫌よ!千秋に会って、私の貯金通帳を渡してもらうのよ!そしたら、こんな気味の悪い事を続けなくていいもの。
「ママ、行くでしょ?」
母乳を絞り終わった私に、雪那ちゃんが話しかけてきた。
「うん」
恭介君を抱っこ紐で抱えて、私はビニール袋に母乳をいれた袋をいれる。雪那ちゃんと一緒に家を出る。
手を繋いで歩く!私を連れて行ってくれる。
「あー、梶兄ちゃん」
「雪那ちゃん」
「ママー、早く」
そう言われて行く。
「はい、これです」
「ありがとう、じゃあお金!これね」
「あの、何に使うんですか?」
「興味あるの?葵ちゃん、そんなの気にしなかったよね」
「あっ、何かすみません」
「いいの、いいの!ちゃんと来月も忘れないでね」
「はい」
その人は、保冷バックに母乳をつめて、雪那ちゃんの頭を撫でた。
「じゃあ、またね」
「バイバーイ」
「さようなら」
惨めな生活ではないか…。2500円で、母乳を売った。
「ママ、帰ろう」
「うん」
雪那ちゃんが、稼いだお金で生活をし、私は少ないながら母乳を売る。
何なのだ!こんな生活を私は、何故経験させられているの。
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