第3話 TE25 ジムカーナ仕様になる

とりあえず、TE25は復活した

続いて、一般公道を走るための車検を取りに行く

日曜日は検査場がやってないため、平日に行くわけだが

おっさん、出張で日曜日移動とかさんざんやらされてたので

代休がしっかりあるから、代休取って仮ナン借りて

テスター屋→検査場のコースを選択


自賠責てどうしたんだっけ? 記憶にないw

基本ドノーマルなので、キャブ調整での排ガスが心配なだけ

SUツインキャブはパワーは出しやすいが、排ガスが汚い

しかし、規制前の車だし、基準も緩いのでなんとかパス


寮の住所で登録するので住所が変わらず、ナンバーは継続で使うことにする

翌日、事務所の席に居ると常務(若)がニヤニヤしながら寄ってくる

普段は、常務でござい と滅多に事務所に出てこなくて

常務室に課長とかが呼ばれるだけだったのだが

そして、課長の席を素通りして、おっさんの席の前に陣取る


若「昨日代休だったよね、車検?」


お「排ガスがギリでしたが、なんとか

  キャブ調整をもう少しシビアにしないと

  上が回らないんですよね」


若 ニヤニヤ 「仕事もその勢いで頑張って下さい」


お「ハイ」

それで、去っていく常務(若)


さてと、解体屋に電話して息子(栗原)動向を訊こうとしたら

当然、何処か勤めて仕事に言ってるものだと思っていたら

電話に出やがった おい!


今はド平日の昼前やぞ っておっさんも就業時間中で

さっき常務(若)に「仕事も・・・」と言われたばかり

お「とりあえず、車検は取った 2年は乗りたい

  中古のタイヤと足 ノンスリ ハンドルとボス

  できれば13対1も欲しい」


栗「お前なぁ、ド平日の真っ昼間に電話してきてそれかw」


お「それで、電話に出るお前もな」


当時、携帯電話なんかない

固定電話引くにも、なんとか代で7万とか掛かった時代で

電話に出るって大変な時代だったんだ


栗「まず、13対1は無理 大工事になるから止めとけ

  他は、あたっておく ノンスリは純正でもいいよな」


そう、当時のトヨタ車は、ハンドルのギアレシオが13対1の

クイックタイプがオプションで設定されてたり

ノンスリもオプションで設定されてたりしてたのだ


お「予算はどれくらいみとけばいい」


栗「タイヤ・ホイールとハンドル周りで5万

  足はどっち方向? 上げる下げる?」


お「上げる方向だけど、延長ロアアームとかが必要だろ

  TE系だから今のTA系のは移植できない まぁ、あるやつでいいから」


栗「なら下げる方向がいいな、ジムカーナ車両が入ってくるらしい」


お「それって一式揃うような、ナンバー付け替えた方がはやそうw」


栗「残念ながら、カマ掘られたんで無理だな

  足が生きてればいいけどな」


お「やばい、課長が睨んでる また電話するw」


栗「入ったら、寮に電話するわ」


と言うやり取りを、何度も就業時間中に繰り返し

若かりしおっさんは、アルプスの地図を頼りに栗原の待つ解体屋に向かっていた

途中何度か公衆電話で、解体屋に電話をして方向位置の確認をしながら

TE25を走らせていた


どうにかこうにか、栗原の解体屋に到着

ジムカーナ仕様の廃車から剥ぎ取られた、ノンスリ 足 ハンドル等

が並んでる


タイヤだけは先に剥ぎ取られたようで、その辺のラジアルになった

お「おいくら」


栗「6で」


お「了解、でどこまで手伝ってくれる?」


栗「どこまで25で遊ばしてくれる?」


お「好きなだけ、壊さないレベルで

  あとキャブセットが下から中までで合わせてあるから上は回らんぞ」


栗「それは、俺の好きにキャブセットしてもいいって事か」


お「おいw 腕は確かだが性格に難ありだな」


栗「お前に”だけ”は言われたくない」

と言う会話のあと、ジャッキアップして馬に乗せて

タイヤを外し、デフオイルを抜く

ホーシングからスライディングハンマーでドラシャを引っこ抜く


潜って、デフを外した後でパッキンが買ってないことに気がつく二人

幸い、今日はド平日、共販が営業中

栗原が共販の在庫確認の電話を掛けに事務所に行く


その間に、リアショックを交換する

バネは板バネなんで換えるのが大変なためノーマル

共販に在庫があるとの事なので、取りに行ってくれると

その間に、ハンドルも交換 

おやシフトノブもカッコいいのが置いてある 有り難く 交換する


ボーと待っててもしょうがないので、Frショックの交換

ストラットごと剥ぎ取ってあるので、バネの交換は不要だな

ちゃっちゃと交換してしまおう とやっていると

右側が終わった所で栗原がパッキンを持って登場

あれ、人が増えてねぇ?

って、これまた同期のクルマ好きのやつの顔が3人


加藤「面白い車らしいやんけ」


佐々木「25って所が泣かすよな」


神田「このバーフェンがw」

と好き勝手言い出す


栗「とっとやって、キャブセットやるぞ」

と、いきなり5人での作業になる

結局おっさんは、デフは外しただけで、組のは勝手に進んでた

あっという間にジャッキダウン


おっさんがタバコとか言って、目を離してると

エンジンが掛かり、タイミングライトで点火時期が確認され

その辺を走って異音等が出てないか確認がされていた←過去形


3台の車に分乗して、本日休業のスーパーの駐車場に向う

かなり広い駐車場で、栗原が運転

栗原「ホントに下から中までの街乗りセットやな」

その他も順に乗っていき、好き勝って言い出す


加「リアのバネがノーマル板だしこんなもんじゃねぇの」


佐「ドアンダーじゃないし、トラクションも掛かるし」


神「ノンスリが効きすぎなきもするが、カキカキ言ってるぞ」


栗「ノンスリは仕方ない ジムカーナ仕様のままだし」


佐「ジムカーナ車から剥ぎ取って移植か なら仕方ない」


加「足もか」


栗「そう」


佐「いい足じゃん、ノーマル板バネでこんなけトラクションが掛かって

  程々のアンダー目でノンスリも効く

  次は、キャブセットやな

  2TGじゃないから、回らんにしても、もう少し薄くしてさ」


栗「そうそう、SUツインだしもう少しなぁ」


加「佐々木 お前キャブセット得意だったろ 時代遅れの得意技 って」


佐「俺はソレックス専門なんだが」


加「まぁ気にするな SUだって似たようなもんだ」

全然にてねえよw


すると、ボンネットが開きキャブセットが始まる

佐「ジェット類はついてるのだけか?」


お「とりあえず±2番手がリアシートに置いてある」


佐「おっさんその辺はバイクレース経験者やな ちゃんと準備してるわ」


お「無かったら、共販寄って買うだろから 余計な手間だしな」


栗「ジェット類は買ってあっても、デフのパッキンは買い忘れるとw」


加「ひでえなぁwww」


佐「らしいっちゃ、らしいけどな」


栗「その辺にしといてやれよww」


神「おっさん、そういやさぁ、バルブクリアランスは取ったのか」


お「冷間でな」


神「冷間w」


お「俺いつも温間で始めても、冷えちゃうから冷間! 冷間数値も出てるしね」


神「シムゲージ買ったの?」


お「会社にシムって、ほら隙間に入れたりするオレンジのケース

  それが揃っててな、冷間用のがあったんだ 10cm頂きました」

神「wwww」


加「栗原と佐々木で始めちゃったよ」


神「あいつら、キャブとか大好きだからな」


加「あ、出てった しばらくは帰ってこねえな」


お「まぁお値打ちで揃えてもらって、手伝ってもらってるし

  壊さんけりゃ、お好きなようにだわ 腕は確かだしな」


加「オーナーがそう言うならいいけどな」


神「バケットとかはどうするの」


お「今のダルマのを移植する あのオートルックも泣かせるだろ」

「wwっw」と加藤と神田


加「しかし、TE25なんてよく見つけたな しかも、結構コンディションいいし」


神「それそれ、なんで27にしなかったの」


お「27をロハでくれとは言えんが、25なら言える」


神「え! ロハ?」


加「何でまた」


お「どうせ栗原や佐々木も聞きたいだろうから、帰ってきたら

  飯でも食いながら話そうや

  人数が増えたんで単価の安いところな」


加「大学の側の定食屋みたいなのが有ればいいんだが」


お「つか、お前ら今日はド平日 俺は代休だからいいけど」


神「TE25を弄れるんだ、年休」


加「おれも 佐々木も年休って言ってた」

と、おっさん達3人は1時間以上も待ちぼうけになった


帰ってきたTE25と栗原と佐々木

栗「俺本職だけど、佐々木のキャブセットはやっぱ巧いな」


お「イメージはどんなン?」


佐「下は棄てて、中から上で このキャブだと全域は無理だわ

  ソレックスよりむずい

  おっさんの上棄てての中までのほうが街乗りはいいかもな」


お「だろ、街乗り仕様だとあのセットなんだよ」


栗「このセットだと、街乗りでも踏んでけ だよなw」


お「おいw ネズミ取りホイホイじゃねぇか」


佐「そこそこ見れたし、ちょっと移動して、峠に行こうか」


25におっさんと佐々木が乗り、皆で峠に向かう

5割で流しながら、交通量や路面を確認していく


加藤と栗原の車は、かっ飛んでいってミラーのカスにされた

お「ほんとに中から上はいいな」


佐「だろ もう少し薄めにして、上に振っても良かったんだが

  おっさん、中をよく使うやろ」


お「覚えててくれたんだ」


佐「最初のセットが中メインのセットだったしな

  まぁ、俺が好きなのとおっさんが好きなのとで

  中間ってところか」

と、3本目に入ることには25に入った足にもキャブセットにも

慣れてきて8割で走るおっさん


4本目を終えた所で、路肩の待機場で待つ3人に25を渡し

一服するおっさん達

飯食いに行く時間がなくなる とおっさんが言うも

同期の四人たちは、交代で25で走り続ける


どうやら、飯を食いに行くよりも峠のほうが好きなのは

大学時代と変わっていない

たっぷりと日が暮れた頃、ようやく満足したのか

同期4人がおっさんに25を引き渡す


お「飯食いに行くかぁ」


栗「悪い、仕事が残ってるで戻るわ」


加「お前w、最後まで乗ってたの誰だよ」


神「俺も、明日の準備が」


お「なんだなんだ、手伝ってもらって飯も出せないと」


四人は「飯よりも面白い車だってことで」

神「25の入手の話も面白そうだから飲み会を企画するわ」


佐「任した、企画屋ッ 神田」


おっさんのTE25がジムカーナ仕様になり

キャブセットも完了した所で

今宵も深けたようで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る