第54話 諦めるということ

諦めた。

心で諦めた。

七は、諦める。

諦めるしかない。

能力がないんじゃ出来ない。

もう終わり。


_諦めていいの?_


そんな声がした。

聞いたことのある声。


_いいの?


もう、いいよ。

と七は思う。

結局何も出来ないのだ。

七には出来ない。

諦めることはすばらしい。

けど

本人が決めたなら、か。

七は思う。

七はハッとする。

決めてない。

まだ、決めてない。

曖昧に自分に


そこへ、糸で絡められている物体は、糸を解いていくと、巨大な青色の口を開ける。

あるのは糸ノコギリのような、口内。

あれは、死ぬよりも苦しい。

そんな気がした。

七は焦る。

逃げられない。

七をまず、舌で口の中へ入れると口を閉めていく。

七の背中に刃が刺さっていく。

少しずつ刺さっていく。

恐怖の方がある。

「…いやだ」

諦めたら、死ぬより苦しい。

七は叫ぶ。

「やだっ!!!」

力は使えない。

なら、どうやって。

痛みの中

刃が刺さってきて、反射的に手が動く。

七はハッとする。

後ろへ向かって拳を作ると無理に腕を上げる。痛みが走るが殴る。

「いやだあ!!!」

そうすると物体は、口の中を殴られ、ビクリとする。

が、それでは効かない。

七は反射的に動く。

刺さってきた方が痛みがあった。

麻痺する。

痛みはある。

けど、本能的に動く。

なら、これは。

口内の肉の部分へ大きく口を開ける。

ガブッと噛む。

そうすると、たまらずに物体は、七を落とす。

七は、落とされ地面にある。

「はあ、危ない、まだ痛いし……」

が、生存本能の方が強い。

次に体は痛くても逃げ出そうと動く。

動いている。

「逃げる」

七は走る。

絡まった糸が解けた物体へ七は考える。

力は使えない。

回りを見る。必ずどうにかする方法があるはず。

七は探す。

金色の生物の足下。

壺のような形をした中から現れている。

そこへ走りだすと、地面の石を持つ。

七が動くのは。

壺といえば、壊れやすい。なら、石で思いきり叩く。が、壺は壊れない。

「あ、………壊れない」

そこへ、巨大な口が近づいてくる。

七の腕を思いきりガブリと噛みつく。

「な、」

七は、噛まれたがすぐに蹴りを入れることで後ろに下がる。

鍛えたからか、少しは動けた。

物体はまた回転すると羽から生物を現す。

七は、力を使えない場所で膝をつく。

「使えない?場所?ふざけるな。何をしてでも生き残ることが人だろ?なら!私の力!現れろ!」

七は、手を上げる。

青色の輝きが現れる。

鎖は現れる、七の腕を締めるとパキンッと弾ける。

その力は殴るではないし。

七は、ポケットの中を何となく探る。

そこには、輝く赤い結晶が一つあった。

まず、巨大な口元へ輝く手で触れる。

物体は動きが止まる。

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