第53話 力を使えない戦い

七のいる場所は広い。多くの草原と岩場がある。

そして、いるのは。

美しき金色の姿。

形は糸で絡まられている物体。

透明な透けている羽を持つ。

七は一言。

美しい。

糸で絡まられた物体は、グルンとその場で回る。

そうすると、透明な透ける羽から、多くの丸い生物が現れ、七へ向かってくる。

生物たちは七を囲むとぶつかってくる。

地味に痛い。

「いた、痛いです……」

ぶつかるのをやめると羽へ戻る。

「何だったんだろ」

糸で絡まれている物体は、グルグルと回転すると七へ突っ込んでくる。

あんなに大きなものがぶつかればつぶされる。

七は、逃げようとする。

が、体がパタリと倒れる。

うつ伏せに倒れ、動けない。

痛みが走る。

「な、」

痛みで動けない。

七は自分の手に気づく。

手の甲に金色の模様がある。

「なに………?」

グルグルと回転して突っ込んでくる。

七は動けない。

鍛えても、かなわないし。

力のない自分では無理と思う。

無理なのだ。

出来ないのだ。

ここへ来て、無理だとか、だめだとか。

最初から分かっていたのに。

望んだから。望まなければ。

七へ突っ込んでいく。

七は、諦めた。

諦めることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る