第41話 一人の戦い 甘き

紫と銀の髪の少女は愛空街。

この紫と銀の結晶の中央にいた。

なぜいたかは分からない。


彼女はうつむく。

ここへ何人も来て、彼女を倒しこの愛空街で人は自分の欲望を楽しんだ。

けれど、前回の者はここを壊そうとしたらしいが……あれは。

彼女を倒さずにクリアした。

話をすることを選んだ。

あの人を覚えている。

人間は欲望しかない。

そうでないと生きていけないらしい。

それは悪いこととは思わないが。

少女にとっては近寄りたくもない。

彼女は純粋だ。

一人でここでクリアのために待つ。

一人だ。

一人きり。

もう、一人の感覚。

心もない。

そこへまた人は来た。

_____________

少女は、彼女の名前を聞いていない。

まだ、彼女を知らない。

「あなたの……名前は……」

つい、気になった。

眠っている。

気絶、か。

「クリアはなし。残念だったな。人間」

そこへ、ムクリと七は起き上がる。

「トドメは刺さないんですか?」

「刺す理由がない。消えろ」

七は輝く青の手で少女の頬にふれる。

そして七は少女へ大きな声を出す。


「私の名前は七です!あなたの名前は何ですか!?」


パキンッと何かが弾ける。

が。少女はすぐに言う。

「知らなくていい。黙れ」

七は引かない。

だって、だって!

「かわいい女の子の名前は聞くんです!もうルールです!私の!今そうしました!」

「…………黙れ。人間」

「七です!七ちゃんでも、お兄ちゃんでも、呼び捨てもたんも、りんでも!あと何っちでも呼んでください。そのかわいらしい声で」

少女は後ろへ下がる。

「無理……何」

「さあ!じゃあ名前つけますよ!えーと!おりりんとか!あと、みるるとか!ララララとか!ルルルルルとか!」

「やめろ。私は…………魅井みいだ」

七はドキドキする。

「み。み、み、み、ミー、ちゃん!?」

「魅井だ。変な名前で呼ぶな」

「魅井さんは何年ここにいるんですか?」

「ずっとだ」

「そうですか」

七は魅井の手を握ると走りだす。

「な、」

「行きましょう!」

勝手に魅井は連れてかれた。

七は突然だ。

魅井は後ろを振り向く。

紫と銀の結晶がある。

「どこへ行くんだ?」

「え?かわいい女の子とデートです!」

「何を言っているんだ?私を倒しクリアを」

「いやいや。かわいい女の子は愛でないとです!」

七は光の元へ魅井を連れて来た。

「七お姉ちゃん……なんで魅井お姉ちゃんつれてきたの?」

「かわいい女の子とはデートをです!」

光は、驚くがニコとする。

「まあ、いいかな」

____________

優衣の元へ来ると。

優衣は七へ口を開き閉じない。

「倒すんだよ!?」

「かわいい女の子とデートがしたくて…」

七の女性好きはもう治らないことが分かった。

優衣へと魅井は言う。

「変な奴を呼んだ」

優衣はとりあえず。

「く、クリアかな?けど」

優衣は困り顔をしつつ、意外に過ぎる結果に驚く。

優衣と魅井は七から離れる。

魅井は優衣へと耳打ちする。

「彼女は力でクリアした。私へ能力でふれた。無意識。あれは……けれど戦えない」

優衣はうーんとなる。

「最後が女の子だったことが原因かな。なら、七にはもう一つしてもらわないとね。次は誰の助けもなく」

七を光は抱きしめる。

「七お姉ちゃんー。すごいけど、私の方がすごい。ほめてほめてー」

「光さんがいたからクリア出来ました。ありがとうございます」

「えへへー。私のおかげ」

七は光の頭を撫でる。

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