第29話 妹・光

妹の光。

といっても妹キャラである。

光はまず七の肩に顔を挟むようにする。

「七お姉ちゃん。私の話聞いて」

「お話し聞きます」

「七お姉ちゃん。七お姉ちゃん。私ね、嫌いなものがたくさんあるの。まずね、朝昼夜絆勇気希望友達恋人先輩後輩……他にもね」

光は嫌いのものを全てかわいらしい声でささやいてくる。

「どうして嫌いなんですか?」

「嫌い。私にはないもん。ルルお姉ちゃんたちはいるけど……私はここで生まれて優衣お姉ちゃん、星お姉ちゃんはいるけど」

光はニコリとする。

「私に友達もいないし、家族もいないもん。外の人たちはあるんでしょ?行ったことあるの。みんな誰かと一緒………私は一人ぼっち」

七へと甘えた目をする。

「ほめて、ほめて、ほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめてほめて私をほめて」 

七は、光の頭を撫でる。

「光さんはいいこですね」

光はニタリとするが上を向くとかわいらしく笑う。

「もっとほしいなあ。もっと、もっと、ほしい」

「いい子ですね。とても、かわいいです」

頭を撫でる。

撫でる。

柔らかな髪だ。光は甘える。

「もっとして。もっと、ほめて」

光は甘える。

ラブコメの妹のように。

小説の妹のように。

その声に表情に七は癒されていく。

「かわいいです……」

七は頭を撫でながら自分の方が癒されていた。

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