第25話 優衣 七 能力

優衣に連れてこられるのは外灯の並ぶ場所前。

ここには、優衣は一人ではなく、七の手を掴むと一緒に入る。

「ゆ、優衣さん」

七をドンと押す。

「能力発動に待ってられない。七様。無理やりだよ」

優衣の目は冷たく真っ直ぐだ。

そこへ針の足を持つモンスターたちは現れる。

素早く走ってくるものがいて、七へと突っ込んでくる。

優衣は前に出ると白棘の紋様を現す。

モンスターへ突き刺さる。

七は目を開く。

動けない。

優衣は、静かに言う。

「能力。使えないと痛い目にあうよ」

七は震える。

怖いのだ。

「七様?動けないの?ねえ?七様」

七は足が動かない。

「あ………」

モンスターはたくさん向かってくる。

七へ向かってきて、針ギリギリで優衣は蹴りを入れると、飛ばす。

「七様。ほら、突き刺されちゃうよ?」

「私は………」

優衣はモンスターと戦っていく。

七は、震える。地面に座り込む。

モンスターの針が七の胸ギリギリだ。

これは、刺さる。

これは。

死ぬ。

七は痛いのも死ぬのも嫌だ。

七は顔を覆う。

優衣は手を出さない。

これは、七が自分でどうにかするべきだ。

彼女の楽園。

彼女は戦えないといけない。

優衣は冷たく見つめる。

「七様」


____輝く。

青色の光が輝く。

七は、手の中に光を感じた。

手の中にあるのは、ジャラリとした鎖だ。

「鎖………?」

けれど、誰かを鎖で縛るのではない。

七の腕に巻きつくと少しきつく締める。

痛みに少し顔をしかめるが。

パキンッと弾ける。

輝く腕で相手へ拳を振るではなく、七は、突っ込んでくるモンスターの体へふれる。

七は、なぜか言う。

「倒れてください」

モンスターは触れられると消えていく。

「あ……」

優衣はニコリとする。

「それが能力だね。七様。へえ。すごいね」

優衣は他も倒す。

七は、向かってくるモンスターへ触れる。

が、効かない?

優衣はザクリと白棘の紋様をその前に突き刺す。

「七様大丈夫?」

「あ………………」

「一体が限界みたいだね」

七の力は消えていく。

「あ……………」

七は、膝をつく。

優衣は七を見下ろす。

「どう?七様。戦い」

「怖かった……です」

優衣は膝をつける。

「そっか。でも、やらないとね」

七はうなずく。

「…………はい」

優衣は手を差し出すと、七はゆっくりと手を掴む。

七は立ち上がると優衣は手を握り走って行く。

「行こっ。七様」

外灯の場所からは出てしまう。

優衣は出ると七の心配をする。

先程と違う顔をする。

「大丈夫?七様………ごめんね。無理にでもしないと……その、力は出てこないから」

優衣はどこか申し訳なさそうな顔をする。

七はすぐに答える。

顔を振る。

「いえ!そんなことないです!」

「あ…………ごめんね。七様」

「私は戦えないとだめです。……ですから…。ありがとうございます」

優衣は七の頭を撫でる。

「ごめんね……。ケガしてない!?」

「してません。大丈夫です」

七は少し手をすりむいていたが隠す。

笑顔でいた。

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