愛空街へようこそ

第20話 光と星 対戦

星は四角い刃を握り、光へと近づくと左手を地面につけて、しゃがみ込む。

右手で持つ四角の刃を前へと突き出す。

光は飛ぶ。

そうすると、当たらず光は星の腕を足で上から蹴り込む。

そうして、星は四角い刃をポロリと地面に落とす。

光は地面に足をつく。

更に片膝をつけると星の回りを結晶で囲う。

「ルルお姉ちゃんは、悪いことしないよ」

星は冷たく鋭い目をする。

「けど、そいつが暴れたら殺すのはあんただ。光」

光は大声で叫ぶ。

「ルルお姉ちゃんは、モンスターがいて、私も食べられちゃうと思ったけど！助けてくれたもん！だから！ルルお姉ちゃんは安全だもんっ！」

星は臀部を地面につけているが、余裕げに言う。

「モンスターはモンスターだから、それに七まで使って」

光はニコリとする。

どこか狂気的だ。

「七と、私とルルお姉ちゃんはもし一人でも死んだら、みんな死ぬの」

七は驚く。

「え！？何の話ですか！？それは！？」

光は七の腕に抱きつく。

「えへへっ。やーちゃった。七お姉ちゃん。怒ってる？私のこと嫌い？」

七は。

口角を上げ、光の頭を撫でる。

星はその姿に。

「嫌いじゃありませんよ」

星は心底嫌な目をする。

「気持ちわりいな」

七はニコッとする。

笑う。

光の頭を撫でる。

とても、可愛がる手つきで。

大切にする玩具のように。

異常な少女だ。

七は。

星はとりあえず息をつく。

「いいさ。お前らが死のうがどうしようが私には関係ない」

星は下がることにする。

そこへ、優衣が来る。

「ルル様………出ちゃったんだ……あー。まあ、いいっか。だから二人きりにしたくなかった……」

七は、光の頭を撫でる。

撫でる。

竜のルルの頭も撫でる。

彼女がここへ来たのは少女たちといるためだ。だからこれでいい。

光は七へと甘い目で見上げる。

「七お姉ちゃん………うれしい？」

「………うれしいですよ……かわいい女の子と死ねるなら……うれしいに決まってます………」

優衣は目を細め、頬を紅く染める七の姿に何ともいえない。

「七お姉ちゃん…………光のこと、責めたりしないね………そっか。なら、嫌いじゃないよ」

光はうつむいてニタリとする。

優衣はゾクリと寒気がする。

前々回の主役は彼女の勝手に過ぎる行動により、彼女を殺そうとし、無理に現実世界へ還された。

優衣はとりあえず、そうはならず安心した。

七が異常でよかった。

優衣は安心した。

竜は、優衣の方へも来る。

「ルル様………」

モンスターである彼女へあまり何かを思ってはいけないが。

「ルル様」

ルルは、ニコリとする。

しゃべることはない。

光はルルを抱く。

「ルルお姉ちゃんを出すには主役が必要だからね。ありがとう。七お姉ちゃん」

七は、フラリとする。

優衣は七を支える。

「七様……光様。あなたが命を」

光はニコリとする。

悪いとも思っていない。

「えへへっ。七お姉ちゃんも私の命。死ぬことはない、けど……分かんないからね」

優衣は光の純粋な笑みをとりあえず見ないふりをする。

光はニコリとする。

「怖い？優衣お姉ちゃん。私のこと」

「光様は怖い。けれど……怖がっていられない」

素直な答えだ。

「優衣お姉ちゃんは嘘つかないから。嫌いじゃないよ」

光は満面の笑顔を見せた。

優衣は七を抱えると行ってしまう。

ルルは光の隣にいる。

頭を撫でてつぶやく。

「今日はここにいるね。ルルお姉ちゃん」

ルルは静かに隣にいた。