第3話 愛空街の始まり

七は、優衣と手をつなぎ歩いていく。

「優衣さん。あの」

「何でしょうか?七様」

「そんなに丁寧に話さなくていいです…」

「分かった。じゃあ。軽ーくしゃべるね!幼なじみ?妹?クラスメイト?どの私がいい?七様」

「えと……あの。幼なじみとか……」

優衣は笑う。

「だけど、七様と呼ぶね!これから私は七様の幼なじみ。私のことも優衣って呼んでね」

「あ……私は優衣さんと呼びます」

優衣は不思議そうな顔をする。

「そうなの?幼なじみなのにー。」

優衣は七の腕にくっつく。

「えへへっ七様。あのね!これからどうする?服選び?本屋さん?何か食べる?」

「あ……」

「どうする?」

かわいらしく笑う優衣。

「私は……ん……そうですね…ゲームセンターとかも行ってみたいです」

「ゲームセンター?うんっ。行こう」

七は手を握られ歩いていく。

ゲームセンターへと入ると、ぬいぐるみが置かれてる箱がある。

「ゲームセンターです……一人で入れなくて……」

「そうなの?やる?」

「しないです。見てるだけです」

「そっかー」

優衣はぬいぐるみを見つめる。

「あ、この猫かわいい」

「わ、かわいいですね」

「ねー」

ゲームセンターを出る。

そこにいるのは。

赤い髪の少女。

長い髪。

赤の瞳。

そして、服装は赤紫のドレス。

彼女は七を見て、すぐに向かう。

「消えなよっ。あんた」

その手には四角形の刃を持つ。

七の前に優衣は出てくる。

優衣は手を前に出すと白棘の紋様を現す。

「七様に何するの?星様」

「優衣。退きなよ。ここに来た者は私の手で潰す」

「潰すの?」

「この世界の異物でしょ?それ」

「異物ではないよ。主役だよ」

赤の髪の少女。星は。

ニヤリと舌なめずりする。

「主役は必要。けど邪魔。この世界を崩壊させる可能性もある。消さないと」

七は立ち止まる。

「私……」

星はニコリとする。

「へえ。まあまあかな?怯えた顔いいな。潰すの惜しいな」

七は立ち、震える。

「潰す前に」

星はタッと地面を蹴る。

「名前くらい知りたかったかも!」

四角形の刃を真っ直ぐ突き刺す。

そこへ優衣は前へ出ると四角形の刃を握る。

「前回の主役と同じにしないで星様」

「前回の奴は壊そうとした。ここを。次も分からないだろ?」

「そうだね、でもこの子は」

七は優衣に見られる。

「ここを壊したい?」

七は顔を振る。

優衣はニコリとする。

「ほら」

星は静かに言う。

「信じられないな」

「今の所は襲わないで」

星は四角形の刃を後ろへとおさめる。

「しゃーないな、仕方ないから今は我慢。主役とのラブでもしてやる」

七をニコリと見る。

「よろしくね。七。私は星」

七は頭を下げる。

「あ、よろしくお願いします」

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