第317話 大魔王 恭華のやり直し ! ②

【恭華side】


 幼女邪神は諦めたように、


「お主らも物好きじゃな~。

 妾は邪神ユリリン、亜人や魔族側を支援する女神なのじゃ。

 別にヒト族を滅ぼす必要は無いが……

 これは『ヒト族VS亜人や魔族』、どちらが勝つかの神族のゲームなのじゃ。

 悪いが、お主らには拒否権は無いのじゃ。

 もう一度、最後に聞くが! 」


 女に二言はない !

 だけど、そっと鹿島光介くんの方を見る。

 彼も心変わりは無いようだ。


「細かい事は、向こうの魔族に聞いて欲しいのじゃ !

 妾も暇潰し……時間を作って訪問するから楽しみに待っているのじゃな!」


 この邪神、ボッチで寂しいのかしら……


 やがて、わたし達は光に包まれてたのだった。


 ◇◇◇


 わたし達が再び目を開いた時には、沢山の魔族らしき人達とエルフ、ドワーフ、獣人たちがひれ伏していた。


 その中の羊の魔族か獣人が執事の姿で恭しく頭を下げながら、


「ようこそ、邪神様の御使い様。

 魔王国は、御二人を歓迎しますぞ !

 ……それで、どちら様が様なのでしょうか ?」


「「へっ !?」」


 わたし達は呆気にとられた。

 しばらくしてから、先程の執事魔族のアシュトンさんが、鑑定書を持ってきた。

 これに触れると、ステータスが解るそうだ。


 ◇◇◇


 なまえ かしま こうすけ


 しょうごう 魔王


 レベル 鑑定不能


 ちから 鑑定不能


 すばやさ 鑑定不能


 みのまもり 鑑定不能


 かしこさ 鑑定不能


 こうげき 鑑定不能


 しゅび 鑑定不能


 スキル 鑑定不能


 加護 邪神ユリリンの愛し子


 ◇◇◇


 おおーっ ! あの幼女神、ずいぶんと大盤振る舞いしてくれたわね。

 わたしは笑いながら、


「頑張ってね、

 わたしも協力するからさ ! 」


 そう言った時のわたしは油断していた。

 笑いながら、鑑定書に触れたら……


 ◇◇◇


 なまえ いばらき きょうか


 しょうごう 大魔王


 レベル 鑑定不能


 ちから 鑑定不能


 すばやさ 鑑定不能


 みのまもり 鑑定不能


 かしこさ 3


 こうげき 鑑定不能


 しゅび 鑑定不能


 スキル 鑑定不能


 加護 邪神ユリリンの愛し子


 ◇◇◇


「……なんじゃあ、こりゃあー !」


 思わず叫んだ、わたしは悪く無い !

 あの幼女神、わたしになんの恨みがあるのよ !

 ……そう、この時から わたし達とユリリンの腐れ縁が始まった。


 愚痴を言っても始まらない。

 アシュトンさんから魔王国の現実を聞いた、わたし達は早急に手をうちはじめた。


 ヒト族の国、王国、帝国、聖国からの侵略で魔王国は危機的な状況だ。

 アシュトンさんから教わりながら、魔王国に結界を引いて、ヒト族の侵入を阻むことに成功。

 そして、ヒト族の国にスパイを送りヒト族同士で争わせることにも成功した。


 光介は内政、わたしは軍事を担当。

 魔王国が豊かに成る頃には、逆にヒト族国家は衰退していった。

 同族同士の潰しあい。

 嗚呼、ヒトとは度し難い !

 一緒に召喚されたクラスメイト達は、女神から貰ったスキルに浮かれて自滅した。

『ざまぁ』なんて望んでいなかったけど……自業自得よね。


 ◇◇◇


 時が経ち、わたしと光介は結婚。

 生まれた子供である恭介は、ユリリンに頼んで、わたし達の世界であるジパングに帰した。

 万が一、勇者が侵略した時のことを考えての措置だ。

 わたしも光介も今の魔王や大魔王の力を過信していない。

 ……結局、杞憂だったワケだけど。

 恭介もジパングで成長、結婚して孫たちが生まれた。

 この世界も平和に成ってから、あらためて気づいたのが……


 わたし達、青春していない !

 流石にジパングに戻るワケには行かず、ユリリン達が修行の為に転生したにやってきた訳だ。

 落ち着いたら、光介も日本にやって来る。

 あの世界は、孫の銀河と銀河の姉妹や彼女たちに任せた。


 わたし達の青春、女坂を駆け昇る為に遠慮はしないわ !



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