第316話 大魔王 恭華のやり直し ! ①

【恭華side】


 わたし、スゴいんです…………じゃなくて、

 最初から大魔王だった訳では無い !


 ── わたしは、あの頃の回想をしていた ──


 わたしの住んでいた世界、ジパング。

 ここ、日本とは違うパラレルワールドの世界。

 ある日、突然に異世界に召喚された、クラスごと !


 気がついたら、白い部屋だった。

 周りを見てみたら、わたしのクラスメイト達が居たわ。

 皆、キョロキョロと周りを見ている。

 心細いのか、それぞれがグループを作っていたわ。


 ボッチじゃない !

 わたしは、孤独ではなく孤高なのよ。


 ◇◇◇


 皆がグループを作っている中、わたしと光介……鹿島光介かしま こうすけだけが、一人だった。

 彼は気づいて無いが、彼を狙っている女子生徒は多い。

 その一人が、わたしでもある訳なんだけど……

 女の子達が彼を誘おうと牽制していると、急に光に包まれた女の人が現れた。


「ようこそ、異世界の子供達よ。

 私は女神メッサリーナ。

 私が管理している世界アッチョンブリケでは、ヒト族が苦しんでいます。

 あなた達には、英雄と成りヒト族の国を救って欲しいのです。

 

 私からは、皆さんに戦う為のスキルを与えます。

 決意を決めた方から、此方に来てください 」


 クラスメイト達は、勇者だとか聖女だとか騒いでいるけど、解っているのかしら……

 平和なジパングで暮らしてきた、わたし達に戦闘なんて無理ゲーに決まっているでしょうに。


 第一、あの女神が、わたし達を見る目が気に入らないわ !

 そう、まるでモルモット。 明らかに人間を見下している。


 鹿島光介くんは女神の元に行かずに、別の方を見ていた。


 ヘッ、幼女 !?

 黒く長い髪に赤い目の幼女が、わたし達をチラチラ見ていた。

 光介くんが幼女の方に歩いて行ったので、すぐに追いかけたわ。


 光介くん……幼女趣味じゃ無いわよね。


 わたし達が幼女の所に行くと戸惑いながら、


「なっ なんじゃ~、お主らは !

 此方じゃなくて、向こうの女神の方に早く行かないと良いスキルが無くなるのじゃ ! 」


 そう、わたし達と幼女邪神のユリリンとの初めての出逢いだったわ。


 ユリリンの話だと、召喚されたわたし達には選択権があり、女神が推すヒト族側と邪神が推す(あじん)側を選べる。

 これまで召喚された人達は女神側を選んでばかりいたせいか、しきりにユリリンは『女神側に行かなくて良いのか ?』と何度も確かめてきた。


 ヒト族至上主義 !?

 ヒト族にあらずんば、人にあらず。


『ヒト族でなければ人ではない』と云う教えがヒト族国家の国教である女神教の教えなんだと……



 ダメだ、こりゃぁ !

 ヒト族の方が邪悪だわ。


 女神メッサリーナが睨んでいたけど無視 !

 わたしと光介くんは、邪神ユリリンの側を選んだのだった。


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