第314話 恐怖の大魔王 !? ②

【恭華side】


 光介旦那お母さん真▪大魔王を置いてきて良かったわ。


 駄女神たちやヘタレ軍神は、あの頃と変わらぬ人格だった。

 うるさいお母さん茨城麗華(いばらき れいか)石頭兄妹神アポロン、アルテミスに黙って来たかいは有ったわね。

 八百万の神々の代表である大国主命から日本に入る条件に大魔王の力を封印されたけど、わたしには地上最強の茨城拳がある。

 神々の能力を封印された駄女神たちやヘタレ軍神なんかには負け無いわ !


「なにを朝から騒いでいる、由利凛、恵利凛 ! 」

「由利凛ちゃん、恵利凛ちゃん、どうしたの ?

 悩み事ならお姉ちゃんが聞くよ ! ?」


 家の中から綺麗な女性たちが現れた !


「あっ、お母ちゃんにお姉ちゃん !」


 ユリリンの言葉に、あの女性たちが日本でのユリリンやエリリンの家族なのだと理解した。

 しかし……二人とも美人過ぎない !

 ユリリンやエリリンも顔が整っているけど……

 と云うか『お母ちゃん』と言っていた方は、とても三人の子持ちとは思えない程に若いわ !


 急いでアイテムボックスから引っ越しの挨拶用のお菓子を差し出しながら、


「隣に越して来た、茨城恭華です。

 よろしくお願いしますね、


 思わず、おべっかを言ってしまう。

 わたしの勘が囁いている……この人を怒らせてはいけない !

 わたしの母親と同じ人種だと感じる。

 曲がったことが大嫌いな融通のきかないタイプ。

 そして……かなり強い !


「これは、ご丁寧にありがとうございます。

 私は、潮来由利子。 ここに居る娘たちの母親だ。

 君は高校生だな。 ウチの学園で転入生の話しは聞いて無いから他所の学校に通うのかな ?」


 今更、学校なんて通いたく無いけど、フラフラしていたら不自然かな ?


「実は他所の国異世界から帰ってきたばかりで、学校事情がわからないので手続きが まだなんです 」


 嘘は言って無い……由利子おば様もは通じなさそうだけど、ユリリンの姉らしき娘も危険だと、わたしの勘が働いている。


「それなら、ウチの学園……菖蒲学園あやめがくえんに来るといい。

 事情が事情なら面接だけで入れるはずだからな。

 彼処にいる大江戸兄妹の両親が理事長だから大丈夫だろう 」


 チートかよ、駄目神たちは !

 お金持ちの子供に成るとは、ゼウスも女神ヘラ様も甘いわね。

 まあ、せっかくの申し出だし、断るのは失礼よね。


「それで、『隣に引っ越した』と言っていたが…

 もしかして、あの瓦礫がそうなのだろうか ?」


「えっ ? 」


 振り返ると異世界から持ってきた魔王城が瓦礫の山に成っていた。


「嘘、なんでよ !?」


 ──ヒソヒソ── ウチの周りは特に八百万の神々の結界が強いからは原型を保てなかったのじゃな…………プ~クスクス、お気の毒さまなのじゃ ──ヒソヒソ ──


 ユリリンが囁いてきた挑発してきたのは聞こえたけど、怒るどころか不安でいっぱいだった。


「あ~、察した……手抜き工事の被害に会ってしまったのだろう。

 良かったら、家主の大江戸仁くんに頼んであげるから大江戸家で住むと良いだろう」


 由利子おば様の言葉に甘えようと思ったら、駄目神たちが手でバツをして首を横に振っていた。


 そうか、そうか、そんなに歓迎してくれるなら断れ無いわね。


 わたしがお願いすると、駄目神たちは絶望した顔をしていた。

 フッフッフッ、大魔王からは逃げられないのよ !


 もう一人のお姉さんが近づいて来て、


『わたしは、潮来天音いたこ あまね

 よろしくね、恭華ちゃん ……── ヒソヒソ─由利凛ちゃんや恵利凛ちゃん達をイジメたら許さないからね、大魔王ちゃん ──ヒソヒソ──」


「こちらこそ、よろしくお願いしますね。

 天音お姉さま」


 ヤバッ、天音さん…………ゼウスやヘラ様よりヤベェ女性だわ !


 昔みたいに、ユリリンをイジッタら不味いことに成りそうだわ !


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