第313話 恐怖の大魔王 !? ①

【嵐side】


 冬休みが終わり新学期が始まる日の朝、外に出ると隣に魔王城が出来ていた。

 うん、夢だな…………部屋に戻って、もう一眠りするかと引き返すと、


「相変わらず、しけたツラしてるわね、ヘタレ軍神 ! 」


 久しぶりに逃げ出したく成る声だが反応してしまう俺。


「どうして、お前が此処に居るんだよ、大魔王茨城恭華いばらき きょうか ! 」


 俺の怒鳴り声に弟妹たちと潮来姉妹が家から出て来た。


「「「ゲッ、恭華 ! 」」」


 明日菜女神アテナ英里香女神エリス由利凛女神ユリリンが反応する。


「 ? 」

「アッ、恭華ちゃんだ ! 」


 一方で、初対面のパラス女神パラスと素直な恵利凛女神エリリンの反応が違う。


「駄女神トリオは、どうでもよいけど……エリリンは元気そうね。

 そちらの娘は初対面よね 」


 恭華の言葉にパラスが、


「誰 ? ……すごい小宇宙コスモ

 神々に匹敵するくらいスゴいよ、明日菜 ! 」


 驚くパラスに苦虫を噛み潰したような明日菜。

 まあ、知恵と戦いの女神アテナとしては、恭華大魔王の存在は認めたく無いよな。


「何しに来たのよ、恭華 !? 」


 迷惑そうな顔を隠さない英里香。


「前の世界が、あまりにも平和で暇だから引っ越して来たのよ ! 」


 なんちゅう自由人な奴フリーダムなヤツ


「よく、彼方の世界を代理管理しているアポロンお兄様とアルテミスお姉様が許しましたね 」


 明日菜が疑問をぶつけるが、


「許してくれる訳無いじゃん !

 あの石頭兄妹神なんて、無視したに決まっているでしょう ! 」


 皆が呆れ果てて固まってしまった。

 由利凛が前に出て来た。


光介魔王はどうしたのじゃ、恭華 ?」


 光介は恭華の旦那で、凶悪な恭華と違い優しく出来た男だ。


「 残念だったわね、ユリリン。

 光介は彼方あちらの世界に居るわよ。

 ヒト族の王国の王城を接収して世界を支配管理しているわ。

 だから、光介には会えません。

 やらないわよ、光介旦那は ! 」


 邪神時代のユリリンは光介に惚れていた。

 だから、恭華の言うことは間違いではないのだが……

 この性格破綻者め、本当に性格が悪い !


 ◇◇◇◇◇

【恭華side】


 アイツらが人間に転生したと聞いて日本に来てみれば、変わらぬ駄目神ぶりに安心した。


 わたしは恭華。 ここ日本とは違うと云うパラレルワールドに住んでいた中学生だった。

 ある日突然に教室のクラスごと異世界召喚されてしまった。

 あの世界のヒト族の王国が異世界人召喚をしたのだ。

 ただ、最初に会ったのはヒト族の王族では無く、あの世界での天界の女神メッサリーナだった。


 他のクラスメイトが女神からジョブをもらっていたけど、わたしと光介だけは違った。

 女神メッサリーナの胡散臭さとクラスメイトとは仲が悪かったからだ。


 そんな時、物陰からわたし達を見詰めていたチビッ子が居た。

 それがユリリン、邪神ユリリンだった。

 邪神と云うわりには、へっぽこだったけどね。

 女神メッサリーナよりは数倍マシだと思い邪神ユリリンからジョブを貰った結果、光介はわたし恭華だった訳だ。


 ユリリンのアホが邪神の加護どころか『邪神の愛』、つまり神の愛し子を与えた為だった。


 クラスメイト達はヒト族側、王国から勇者に認定されて魔王退治の旅に出た。

 しかし、自らの力を過信して自滅して行ったのである。

 いくら、わたしだって嫌いな連中だからって、皆殺しにはしない。


 まあ、いろいろあって、わたし達魔王軍がヒト族の世界に勝ち、世界を支配した。


 別に日本に来て世界征服など企んではいない。

 激増した仕事から逃げて来た訳でもない…………本当よ。

 日本に来たのは青春をやり直す為、駄目神たちだけで青春を楽しもうなんて許さないんだからね !


 ◇◇◇◇◇


 ※大魔王こと茨城恭華いばらき きょうかは私の初期作品のヒロイン?です。



【 茨城くん と 恋する乙女たち~ ヒーローが ヒロイン で ヒロインが ヒーロー で~】

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860600264809


【邪神ちゃん バンザーイ !】

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860602503559


【 魔王戦隊 ゴオニンジャー】

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555194759379


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