第309話 クリスマスパーティー
【嵐side】
おかしい……蝶子が我が家のクリスマスパーティーに来た時点で警戒していたのだが、手みやげのお菓子を置いて母ちゃんたちの手伝いに台所に行ってしまった。
まあ、確かに母ちゃんの手伝いは由利凛と恵利凛だけで、妹たちは戦力に成るどころか邪魔に成るので、リビングで料理や飲み物の用意をしていたから助かるんだが……
「ただいまぁ~。 ああ寒かったよぉ、弟くん ♪」
クリスマスチキンやケーキの買い出しに行っていたのだ。
俺 ? 俺はサボっているワケでは無く、風邪を引いて寝込んでいる。
仮病のハズが本当に風邪を引いてしまったのだ。
せめてもの救いは、リビングの隣の和室で寝ているから寂しくない。
ウグゥ、ついてないぜ……せっかくのクリパなのによぉ~。
トン トン トンとノックがした後に襖が開き、姫子と蝶子が入ってきた。
「天音先輩が、嵐くんにゼリーを買って来たんだけど、食べられるかな ? 」
姫子が心配そうに言ったので、遠慮なく貰うことにした。
チューブのゼリーを食べながらリビングを見るとたのしそうに手伝いをしている蝶子がいた。
母ちゃんたちとは、すっかり打ち解け逆に妹たちは居心地が悪そうにしている。
そんな俺を見て勘違いした姫子が、
「蝶子さん、とっても努力家なんですよ。
わたしに『料理を教えて欲しい』と言って、一緒に料理を作る勉強をしているんです 」
それを聞いた妹たちが、ギョとした顔をして此方を見ている。
気持ちは解るが、もう少し冷静になれよ……。
◇◇◇
少しだけという条件でリビングでクリスマスのご馳走を食べられることに成った。
なんだかんだと、久しぶりのクリスマスチキンに齧り付く……
「美味い ! 」
ケンタのチキンも良いが、俺は此方の鶏モモの照り焼きの方が好みである。
トン !
蝶子が黙ってコーラを置いてくれた。
何時もならベタベタとまとわりつくのだが、風邪をひいているから気を使ってくれているのだろうか。
今回はクリパと云うこともあり、ホールケーキではなく、ショートケーキやプチケーキをいろいろ買ってきたようだ。
イチゴのショートケーキを食いながらチキンも食べるなんてクリスマスくらいだから楽しむことにする。
「食べ終わったら、また寝なさいよ、嵐 」
母ちゃんが心配そうに言う。
神時代の
こればかりは、転生を担当した
母ちゃんに言われた通り寝床に入る。
ミトリで買った着る毛布をかぶりスマホを覗くが、チラチラと楽しそうにしている妹たちや姫子……そして蝶子を見る。
アフロディーテと違うのだろうか ?
蝶子とアフロディーテの違いに戸惑いながら、考えているうちにウトウトと眠くなって……
◇◇◇◇
【蝶子side】
風邪薬が効いたのかな、嵐くんがウトウトし始めたと思ったら寝てしまった。
嵐くんの寝顔……可愛いなぁ~ ❤️
今回は
これくらい、小さな頃から大人ウケする優等生を演じたわたしにはチョロいわ。
女の子は生まれながらの女優なんだから、わたしだけではないわ。
「蝶子ちゃん、ありがとうね。
これからも、嵐と仲良くしてくれると嬉しいな、おばさん 」
お母様から感謝された…………よっしゃあー !
好感度アップ !
「こちらこそ、嵐くんと仲良くしてもらった恩返しなので気にしないでください、おば様 」
「蝶子ちゃんみたいな娘が嵐のお嫁さんに成ってくれたら…………ごめんなさい、蝶子ちゃんには迷惑よね 」
「いいえ、おば様。 わたし、嵐くんに選んでもらえるように頑張りますね 」
手応え十分、外堀から攻めていくね、嵐くん ♪
〖 …………蝶子、アンタには負けるわ 〗
絶対、嵐くんをゲットするんだから !
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