第310話 クリスマスパーティー After...

【英里香side】


「蝶子ちゃん、頑張っているわね。

 うかうかしていると貴女たち、クリぼっちなクリスマスを迎えてしまうわよ。

 せっかく、お母さん達が器量良しに産んであげたんだから努力して欲しいなぁ~」


 お母さん大江戸楓が流し目でささやいてくる。

 お父さん大江戸仁のお母さん達の中でも一番のくせ者。

 我が母ながら女神付きでは無いはずなのに、妙に迫力がある。

 そして、わたしの耳にだけ聞こえるように近づき、


「英里香は、どっちが本命なのかなぁ~、ヤンチャなツンツン頭の男の子と長髪メガネの男の子。

 お母さん、反対しないから頑張って落しなさいね 」


 ……もしかして、左慈ツンツン頭于吉腹黒メガネのことを勘違いしている !

 誤解だと言う前に台所に戻ってしまった。

 駄目だ、頭を冷やそう。

 暖かい部屋から外に出る為に、コートとマフラーをする。

 雪こそ、あまり降らないけど関東のからっ風は冷たく、年末年始を無事に過ごす為には風邪など引いていられない。


 ◇◇◇


「これは、これは女神さま、ご機嫌麗しゅうございますか 」


「よくってよ。あなたは如何? 」


 白々しい男、于吉が嫌らしい笑顔で居た。


「何時から気がついたのかしら ? 」


 わたしの質問に対し于吉はうやうやしくしながら、


「私も占い、八卦はっけを趣味としていますので……」


 油断成らない男……わたし達、大江戸兄妹を普通の人間じゃ無いと疑い調べたのね。

 八卦占いで、調べたのは中国人の導師らしいけど。


 左慈が黙ってお盆に乗せた菓子類を差し出した。

 あんパンやクリームパンの他にどら焼が多い。


「女神さまは、ことのほか甘味をお好きだと聞いて用意いたしました。

 これで、今までの無礼をお許し頂けるとは思いませんが、お近づきの印にお納めくださると有り難き幸せなのですが 」


 わたしの周りに食いしん坊な女神は……ひとり居るけど、彼女女神ヘーベーは納豆好き。

 思い至るは、バビロニア神話、シュメール神話の風の女神ニンリル。

 確か、彼女たちをモデルにしたラノベが有ったはず。


「ちなみに、わたし達が何処の女神までは知っているのかしら ?

 何処のラノベの駄女神を参考にしたのなら、神罰を下すわよ 💢 」


 ダラダラとアブラ汗を流す于吉。一方で、突き合わせられただけなのか左慈は何処行く風のごとく知らないフリをしている。



 ◇◇◇◇

【于吉side】


 参りましたね、お見通しですか……

 まさかと思いカマを掛けたのですが、本当に女神だったとは……当たって欲しく無い勘に限って当たるのも考えものですね。


 融通の利かなそうな明日菜さんよりは与し易い英里香さんを選んだのですが、失敗ですかね。

 ダメもとで聞いてみますか、


「せめて、ヒントだけでももらえないでしょうか、お美しい女神さま 」


 アレ ? 褒め称えているのに、英里香さんの顔が引きつっていますね。


「……エリスよ、わたしの神名は。

 大ヒントを与えたんだから、感謝しなさいよね ! 」


 おーおー ! これはこれは、感謝せねば……


「このたびは、第三期のアニメ化 おめでとうございます。

 流石、幸福の女神さまはお優しい !

 お逢い出来て光栄です 」


 ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ !


 なんと云う覇気、いや神気ですか !

 英里香さんから凄いオーラを感じます。


「バ~~~~カ、地雷を踏み抜いたなお前于吉

 生きていたら、また会ってやる 」


 そう言って左慈が転移してしまいました。


 ポン !


 私の肩に手を置いて微笑む英里香さん……女神エリス様。


「わたしは、よ。

 何処かのと間違うなんて、いい度胸ね 」


 アレ、私ヤラカシました ?

























 気がつくと、素っ裸にされた上に逆さ張り付けにされています。

 …………参りましたね、惚れてしまいそうです、女神エリス様 ❤️



 ◇◇◇


 ※この世界、『大江戸くんの恋物語』と続編『邪神が転生 !』は、男性が少なくの世界です……少数派ですが。




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