第308話 クリスマスパーティー before
【蝶子side】
今年は、正々堂々と嵐くんと一緒にクリスマスを過ごせるわ !
本当は、二人のクリスマスを過ごしたかったけど、欲を出しすぎたら失敗する。
〖上手くいったわね、蝶子。
『おめでとう』と言わせて貰うわ。
アノ怪しげな黒猫に誘われて行った廃ビルの男を見た時は、どうなるかと不安だったけど、蝶子の賭けは実ったと見て良いようね 〗
呪術師のアストちゃんでしょう。
十年の寿命の対価にしては不十分だと思うんだけど、まだ、仕事は完了していないわよね、カイ !
今まで寝ていた黒猫が ムクリと立ち上がり、
〖 ヤレヤレ、今回の依頼人は使い魔使いが荒いな。
まして 俺達、怪異のモノを恐れないとは、アストの言っていたことは本当のようだな、アフロディーテよ 〗
すると、黒猫はアノ宅配便の男の姿に変化した。
「こんな軽薄な喋り方をさせられるとはな。
帰ったら、アストから報酬は増やして貰わねば ! 」
蝶子ちゃんと
頭ピンクのお花畑の
〖……ムカつくけど、確かに私には思い付かない手段だったけど……
アレスの奴、神話時代より頭が悪く成っているのかしら ?
あんな見え透いた手に引っかかるなんて……やっぱり訂正 !
ヘパイストスに罠を仕掛けられた頃から進化して無いだけね ! 〗
嵐くんは純粋なだけよ !
変に疑り深い男たちより、よっぽど良いわ。
── ニュース速報です。
裏金問題で揺れていた自業自得党の汚泥派の議員たちですが、間違えて証拠に成る紙書類をシュレッダーにかけて焼却してしまったそうです。
また、パソコンに入っていたデータのハードディスクも間違えてドリルで穴を空けてしまったそうです。
蝙蝠総理大臣の談話が入りました。
「間違いは誰にでもあるのだから、今回のことは水に流して許してあげましょう。
ゲームセット、ノーサイドです 」
続いて地検特捜部から、
「今回の事件は、証拠不十分で不起訴に成りました 」
とのことです。
以上、斜陽テレビニュース速報でした ───
付けっぱなしだったテレビを消してから、出かける用意をしていると、
ピンポーン ♪
ドアを開けると、
「いらっしゃい、姫子ちゃん。
ごめんね、迎えに来てもらっちゃって !
さあ、一緒に出かけましょう ♪ 」
ただ、パーティーに着て行く服が無いから欠席しようとしていたので、わたしが止めたのだ。
『太陽と北風』作戦
今までは、ライバルを蹴落とすことにしていたけど、それでは嵐くんのハートを射止めることが難しいことに気がついた。
そう、北風では旅人のコートを脱がせることは無理だと気がついた。
それなら、太陽の暖かさで、旅人自らコートを脱いでもらえばいい。
姫子に優しくしることで、可愛くて優しい蝶子ちゃんをアピールするのだ !
蝶子ちゃん、
もちろん、蝶子ちゃんコーディネートだから全力で冴えない姫子ちゃんを可愛くするわ !
親友の女の子と仲良し度を見せつけることで、蝶子ちゃんが良い娘だと未来のお義父様とお義母様を味方に付ける二段構えの作戦よ !
「蝶子ちゃんが全力でサポートするから安心してね、姫子ちゃん ♪ 」
〖……蝶子、アンタ本当によい性格してるわ。
流石の私もドン引きよ 〗
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