第304話 心配
【英里香side】
「なっ ! 」
驚いている于吉を問答無用で異界から現世に引きずり出した。
みんなが無事に現世に戻ったところで、明日菜をジロジロと見る于吉。
「大江戸明日菜さんでしたよね。
貴女は、いったい何物なんですか ? 」
于吉が質問するも明日菜は平然としながら、
「わたしは普通の女子高生ですよ、于吉 」
ニッコリ笑いながら言う明日菜に絶句している于吉。
まあ、正直に『わたしは女神アテナです ! 』なんて言っても信じないでしょうしね。
「人生とは無情です。 この于吉を地上に生まれさせながら何故、大江戸明日菜まで生まれさせたのですか、神よ ! 」
神など信じていない于吉が
「
本人が言っている程、ショックを受けていないハズだ。
どこまでが本気で、どこからか嘘なのかは、付き合いの長い俺にも判断に迷う程だからな 」
左慈が、ウンザリしながら説明してくれた。
「すっかり、饕餮の支配から抜け出せたようね。
まだ、世界を混乱に落とし入れて、大量虐殺をする気なのかしら ? 」
「それを言うな。 饕餮に支配されていた時の記憶は残っているんだ !
俺は闘争本能を、于吉は破滅願望を増幅された…… !
おい、
饕餮に支配されていた于吉が、
このままだと、核爆弾を始めとしたミサイル攻撃が世界中で撃たれてしまうぞ ! 」
左慈……もしかしたら、そんなに悪い奴では無いのかしら ?
わたしと左慈の話しを耳にはさんだのか明日菜が、
「心配無用です。 今頃は、
自信たっぷりに言う明日菜に、流石の于吉もタジタジに成っている。
「明日菜さんのお母様と云うと、大江戸勇気 氏ですね。
大江戸グループの副社長にして、スーパーエンジニア。
今の大江戸グループが世界企業に成長した立役者。
まさに大江戸グループの頭脳と云う女傑ですね。
虎の子は虎、龍の子は龍と云う訳ですね。
納得しました 」
明日菜が嬉しそうな顔をしている。
女神アテナとしても大江戸明日菜としても、母親である
ピロ~ン ♪
わたしと明日菜のスマホに
──
…………この娘、親離れ出来るのかしら ?
◇◇◇◇◇
【由利凛side】
明日菜ちゃん達に合流しようとしたら、バイクに乗ったロッキー君に会ったのじゃ。
なんでも、この近くに千葉県名物の勝浦担々麺の名店があるらしい。
嵐お兄ちゃんは、明日菜ちゃん達と合流する前にロッキー君と一緒に勝浦担々麺を食べに行くことにしたのじゃ。
「いいのか、嵐 ? 後で明日菜や英里香から怒られても知らねえぞ !
いいか、俺を巻き込むなよ ! 」
「大丈夫、大丈夫、一休み、一休み。
こっちは仕事をしたんだから、少しくらいサボっても罰は当たらないだろう !」
嵐お兄ちゃんの脳天気ぶりに呆れつつも、妾もご当地ラーメンに興味を持っていたので、御相伴にあずかることにしたのじゃ。
「言っとくが、自腹だからな !
俺はおごらんからな ! 」
ロッキー君に釘を刺されたのじゃ。
嵐お兄ちゃんの図々しい態度で、バレたのに決まっているのじゃ !
こうなったら、全ての罪を嵐お兄ちゃんに擦り付けてやるのじゃ。
そう、妾は嫌々、捲き込まれただけの被害者なのじゃ !
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