第292話 アザゼルの苦悩
【アザゼルside】
ルシファーが俺の部屋に来ている。
「すみません。 私達の手には余りますね 」
アシュタロトが降参したように両手を上げている。
アシュタロトがダメなら、ベールゼブブやマモン、ベルフェゴールには無理だろう。
〖まあ、気にしない~気にしない~、一休み、一休み~ ♪〗
ルシファーの奴、すっかり猫化してやがる。
昔は聖書の神や天界に復讐を誓っていたとは思えない姿だ。
「いったい、何が有ったんだ、ルシファー ?」
ゴロゴロと寝ていたルシファーが起き出し、
〖『 アカシックレコード』って、知っているかい ?〗
「『宇宙誕生以来のすべての存在について、あらゆる情報がたくわえられているという記録層』だと言われているアレか ? 」
ルシファーは、かぶりを振りながら
〖 アカッシックレコードには未来予測も入っていたんだ……〗
「おいおい、見たのかよアカッシックレコードを 」
〖ああ、チラリとだけどね。 このまま僕たち悪魔や堕天使と天界の神や天使が争い続けるとアポカリプスが早まり神も悪魔・堕天使、人間も消滅して完全な無の世界がやって来てしまう。
つまり、神々と悪魔の最終戦争に勝利者なんかはいないんだ。
むしろ、古の封印された邪神が
「ふん、別に俺たちが争わなくても人間同士で滅ぼしあっているんじゃ、世話無いぜ !」
人間の欲望には、俺たち悪魔だって舌を巻いてしまうくらいだからな。
〖だから、地球上の神話の神々は人間を見定める為に人間に転生して人間を地球上に残すか検討を始めたんだよ 〗
ゲッ、いやに各神話の神々が人間に転生していると思っていたら、そんな訳が有ったからなのか。
すでに北の大国や隣国の独裁国家、中東など争いが絶えないからな。
でも日本に集中しているのは何故だ ?
〖…………というのは建前で、ナザレのイエスと仏陀のバカンスの話しを聞き付けた各神話の神々が先を争うように修行と云う建前でバカンスを取っているのが実情さ。
今の日本文化は神々に大人気だから順番待ちをしているんだよ 〗
なんだよ、ソレ !
思わず、真剣に悩んでしまったぜ。
〖 ……と云う訳で天界、聖書の神と和平をすることに成ったんだ 〗
ヘイヘイ、そりゃよ~うござんしたね。
こちとら、人間世界で苦労しているというのに、神々はバカンスとは良いご身分で、ようございました。
〖 だから、ガブリエルのことを頼んだよ、アザゼル ♪〗
まっ まさか、俺を売ったのか、ルシファー !
〖 人聞きの悪いことを言わないで欲しいな、アザゼル。
きちんと平等にクジを引いたんだよ、サタンが 〗
サタンがマトモなクジを作るワケ無いだろう !
ミカエルとルシファー、双子だけ有って二人とも性格が悪いよな !
アシュタロトたちを見ると目を反らされてしまった。
ヘッヘッ、仲魔まで俺を裏切っていたワケか。
てめえら、覚えておけよ !
ピンポーン ♪
チャイムが鳴ると同時にアシュタロトたちが亜空間にドアを開き冥界に帰ってしまった。
「アザゼル先生 ! ウチのルシファーを預かってもらって、ありがとうございました 」
俺に逃げ道は無いのか、
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