邪神が転生 ！ 潮来 由利凛と愉快な仲間たち

第289話 命短し恋せよ乙女 ⑮

【英里香side】

　まっ 不味いわ ！ いつの間にか周りはカップルが、どんどん成立している。

　処女女神のアテナ（明日菜）は気にしないでしょうが、わたしは気にするわ ！

「明日菜さんは、誰かと付き合おうとは思わないのかい ？ 」

　輝（てる）こと、世野中舐芽輝（よのなか なめてる）が懲りもしないで、明日菜にアタックしている。

　その根性だけは認めてあげるわ。

　ただ、明日菜（女神アテナ）の好みでは無いから相手にされないのは、むしろ好運よ。

　女神アテナは、好意を寄せる人間に対して試練を与えて乗り越えるか試す悪癖があるからね。

　私が微笑みを浮かべると、男の子たちが目を反らした。

　アフロディーテ（痴女）の時と同じ反応は、断じて納得いかないわ ！

　わたしのような知的は美少女が微笑んだのよ ！

　顔を赤くしてうつ向くならともかく、顔を青くして目を反らすなんて、ショックだわよ！

　ギリシャからの留学生、ジュリアン＝アッティカが明日菜を見つめている。

　ジュリアンの付き人のテティス＝スミオンが睨みを効かせ女子生徒を近づけないようにしている。

　ジュリアンの家であるアッティカ家も海運王と言われるくらいには金持ちだから、次期当主の明日菜を狙っているでしょうね。

　焼きもちからでは無く、ジュリアンの瞳には愛情（▪▪）は無く欲望（▪▪）の色が浮かんでいる。

　まあ、顔と家柄だけは良いから自信がお有りなようで、余裕を持っているのでしょうが、残念でした。

　明日菜のタイプ（好み）は、泥臭い熱血くんよ。

　もしくは……

　ハァ ハァ 、言いながら荷物係にされている。

　身体が小さな為か、荷物に隠れて姿が見えない。

　まあ、イジメね。

　人間にかぎらず、弱い者に容赦が無いのは自然界の摂理だから仕方ないのでしょうけど……

「努紋（どもん）くん、大丈夫 ！ 」

　明日菜が、中等部の佐賀努紋（さが どもん）の元に駆け付けた。

「あなた達、恥ずかしくないの ！

　弱いものイジメは犯罪よ ！」

　あ～あ。 悪手よ、その言動は。

「イジメじゃ、ありません ！

　ジャンケンで負けた僕が悪いんですから、余計な口出しはしないでください、大江戸先輩 ！」

　案の定、佐賀くんのプライドを傷付けたようね、明日菜（女神アテナ）。

　まったく、これだから処女女神は……

　だけど周りの男の子たち（クソガキども）は、ニヤニヤしているのは、気に入らないわね。

　ちょっと、お仕置きをしてあげましょう。

　最近、武道の修行のお陰で少しだけ神力が使えるように成った。

　名前は同じでも、わたしは何処かのパット女神（幸福の女神）みたいに優しく無いわよ。

　わたしは不和と争いの女神エリス

　わたし残酷ですわよ ！

　努紋（どもん）をイジメていた最低男どもに、不和の種を植え付けてやった。

　不和の種。 だんだん成長して、お前たちを不幸のどん底に突き落とすでしょう。

　明日菜（アテナ）も物好きらしく、努紋のお世話をしている。

　ああいう負けず嫌いの努力家が好きなのね、明日菜（女神アテナ）。

　一応、念の為に努紋をゴッド・アイ（鑑定）で調べて見ますか。

　ゴッド・アイ（鑑定） ！

　…………なっ なんで、こんなところに奴が居るのよ ！

　やっぱり、この世界。 日本は、おかしいわよ ！