第283話 文化祭 ②

【蝶子side】


 英里香ちゃんと明日菜ちゃんに叱られた。

 わたしの中にオバサンアフロディーテが居るのもバレていた。


 英里香ちゃん、明日菜ちゃん、パラスちゃんが元女神だと聞いても驚かなかったわ。

 だって、三人とも美少女だったからね蝶子ちゃんには劣るけど


「わたしはオバサンアフロディーテと違って、嵐くん一筋だからね !」


 わたしの宣言に、目を丸くしている明日菜ちゃんと英里香ちゃん。

 嘘は言ってないわ……たま~に、目移りすることもあるけど、セーフよね。


 ヒソヒソと話し合う大江戸姉妹。

 潮来家の双子姉妹はヲタオタクに囲まれて写真撮影しているから、この場には居ない。


 結局、大江戸姉妹は邪魔はしないが、協力もしないと云うことで合意した。


 わたしとしても、未来の小姑を今から敵に回したくないワケで………


 蛍先生の場合、余計なちょっかいをかけると、やぶ蛇に成りそうだから保留して置くとして、目下の最大のライバルは……


 ガラリ、と教室の扉を開いて見れば……



 佐江内姫子さえない ひめこが嵐くんと親しげにおしゃべりをしていた。


 何食わぬ顔して嵐くんと仲良しに成るなんて、恐ろしい娘 !


「あっ ! 夜野さん、よかったらクッキー食べます ?

 わたしがウチで焼いたものですが、よろしければ どうぞ 」


「姫子の焼いたクッキー、うめえぞ旨いぞ !」


 おのれ、佐江内 !

 男子の胃袋を掴む策略ね !

 嵐くんも嵐くんよ !

 そんなに簡単に餌付けされて、どうするのよ ?


 ボリボリとクッキーを食べている嵐くんは平然としている。

 おかしいわ !

 わたしだったら、間違いなくホレ薬とかを仕込むのに平然としているなんて、……


「あ~、ヒマだねぇ~ 」


「仕方ないよ。 他のクラスも喫茶店をしているんだから 」


 そう、隣のクラスや上級生のクラスも喫茶店をしているから、思っていた程 お客様は来ていない。


 居るのは…………


「妾が、真のスーパーヒロインなのじゃ !」

「お客様の目が怖いよぉ~、ユリリン !

 そろそろ休みたいよぉ~ !」


 魔法少女にコスプレしている潮来双子姉妹を目当てに来ている、ヲタク集団と……


 新撰組の|沖田総司∑星華ちゃん》と土方歳三秋穂ちゃんに群がっている歴女の娘たち。


 大江戸姉妹は遠目から見る人は居るけど、誰も近づいて来ないわ。


 それは良いのだけど……どうして、わたしにも誰も近づいて来ないのよ !


 せっかく、サキュバスの衣装を改造して、某ドロボーの三代目のヒロイン◌不二子にコスプレしたのにぃー !


 セクシーなカッコウをしているのに、男子は目を反らしている。


「なんでよぉー !」


 思わず声に出してしまうと……


「なんでだろうなぁ~。

 本当に懲りないな、夜野蝶子 !

 ちょっと、職員室まで先生とデートしようか 」


 ギッ ギッ ギッ ギッ、ゆっくり首だけ後ろに向けると、


「ゲェェェー 、由利子先生 ! 」








 わたしは首根っこを由利子先生に捕まれて、職員室にドナドナされてしまった。


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