第282話 文化祭 ①

【嵐side】


 やってきました文化祭 !

 結局、保健所の許可の関係で調理は行わないで、ジュースと既製品のお菓子を出すことに成り、調理班からフロアー担当に成った俺だが……


「なあ。 星華、秋穂、俺のコスプレは何なんだ ? 」


 俺のクラス、ハロウィン喫茶の為にフロアー担当は全員がコスプレしている。


「嵐くん、知らないの ?

 嵐くんのコスプレは、大銀河帝国元帥 レオンハルト・フォン・ボーゼングラムよ !」


 知らん !?

 それより……


「由利凛と恵利凛の格好は、幼稚園のお遊戯か ?」


 二人とも、ヒラヒラの薄い服にフリルが沢山付いている。

 手には杖まで持っていて、先端には星のオブジェが付いていた。


「嵐お兄ちゃん。 日朝にちあさの八時の番組 『魔法少女騎士 プリチーキュート』なのじゃ !

 清く可愛く 悪を成敗 ! 」


「ワルイコトしたら星にしちゃうぞ 🌟 」


 二人が決めポーズを取った。

 高校生だが、二人ともチビッ子だから妙に似合っている。

 その手の奴等には人気が出るだろう。


「で、おまえ達は妹たちは ?」


「明日菜ちゃんが紫式部、英里香ちゃんは清少納言、パラスちゃんは小野小町よ 」


 三人とも、着物を着せられているからか、動きにくそうだ。


「星華と秋穂のコスプレって………… 」


 どう見たって、アレだよな~。

 道理で、明日菜や英里香が微妙な顔をしている訳だ。


「わたしが、知恵と闘いの女神アテナで、秋穂が不和と争いの女神エリスよ 」


 パラスが悔しそうにしているが、あきらめろ マイナー女神。


 バフッ ! 後ろから抱きつかれた。


「おい、蝶子 ! 後ろから抱きつくのは、やめろ !

 当たっているぞ、アレが ! 」


 こんなことをする奴は、蝶子しかいないからな。


「エヘヘ、わざと当ててるんだよ、嵐くん ❤️」


 振り返ってはダメだ !

 蝶子アフロディーテのことだから、痴女みたいなカッコをしているに違いない !


 神の時の記憶があるから冷静に成れるが、普通の思春期の男ならイチコロだろうか ?


 クール、クールに成るんだ、嵐 !



 ◇◇◇◇◇


【蝶子side】


「おい、離れろ蝶子 !

 みんなが見ているだろうが ! 」


 嵐くんにだけ聞こえるような小さな声で、


「拒否ったら、みんなに言いふらしちゃうからね !

 嵐くんにヤリ捨てされたって……」


 もう、手段を選んでいられないわ。

 あの日、あの時、わたしも見ていた。

 アザゼル先生が嵐くんをそそのかしているのを !


 ── 蝶子、アンタ…… エグいわね。

 流石の私も引くわ。 人間を甘く見ていたわ ──


 オバサンアフロディーテが何か言っているけど、わたしはアンタアフロディーテみたいに淫乱じゃ無いからね !

 一緒にしないで欲しいな。


 ── はい はい、今回は私も協力するわよ。

 アレス天使に取られるのもしゃくにさわるしね ! ──


「ねえ。 嵐くんは、お◌ぱい好きかなぁ~

 生で触ってみる ? 」


 嵐くんの手を掴んで、わたしの胸の方へ持っ……


 ベリッ と嵐くんから引きがされた。


「蝶子。 アンタ、わたし達の存在を忘れていないでしょうね 」


「アナタとは、一度じっくりと話し合いをしたかったので、空き教室まで行きましょう 」


 英里香ちゃん、明日菜ちゃんの二人に捕まり ズルズルと引きずられていく、わたし。

 後ろからパラスちゃんが追いて来ているから逃げられないわ。


 蝶子ちゃん、ピーンチ !


 でも、絶対にあきらめないからね、嵐くん !


 I’ll be back !

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