第272話 命短し恋せよ乙女 ⑤
【竜ヶ崎蛍side】
気のすすまない見合いの後に、アザゼル先生に会った。
ぜんぜん似ていないはずなのに、どことなく兄・忠夫に似ていると思った。
恥ずかしながら、わたしはブラコンである。
それに気がついた時には、兄には四人の恋人がいた。
最初は、
この国が男不足で、少子化になり、結婚率が低く成ったことにより閣議決定で、一夫多妻、多夫一妻が認められなければ修羅場に成っていただろう。
さて、アザゼル先生だけど、兄・忠夫と違い、見境なく女の子をナンパしない代わりにギャンブルにだらしない。
まあ、兄は早々と財布のヒモをお絹お姉ちゃんに握られていたから、ギャンブルなんて出来なかったのだろうけど。
今日は金曜日で、中等部のアザゼル先生には給食が出るだろうけど、大人には給食の量では物足りないはず。
朝、早めに起きて、お弁当をつくった。
少しだけ、お絹お姉ちゃんに手伝ってもらったのは内緒にしておこう。
職員室に行くと、朝からアザゼル先生は、由利子先生に怒られていた。
娘が三人もいるのに、わたしが子供の頃から変わらない若さの秘密を誰もが知りたがっていることなど、由利子先生本人は知りもしないだろう。
由利子先生から解放されたアザゼル先生に、
「アザゼル先生。 給食だけだと足りないでしょうから、よろしければ食べてくださいね 」
アザゼル先生に、お弁当を渡すと先輩教師の
「正気なの蛍ちゃん。 アザゼル先生だけはヤメタ方がいいわよ !」
「そうそう。 やっかんでいる訳では無くて、アレだけはあり得ないダメあ……ダメ男なんだから !」
「焦ってはダメよ、蛍ちゃん。 アレは、ちょいワルじゃなくて、ダメおやじなんだから勘違いしてはダメだからね 」
うん、わたしの為を思って忠告してくれているのは分かるんだけど……
全部 アザゼル先生に聞こえているんだけど、いいのかなぁ~。
「おい、お前ら。 ちょっと来い !」
先輩たちは、アザゼル先生に連れて行かれてしまった。
◇◇◇◇◇
【アザゼルside】
「お前ら、いい度胸だなぁ~ !」
三人の魔女を呼び出して文句を言おうとしたが、コイツら聞いちゃいねぇ~。
「わたし達は、ホワイト・ウィッチィーです !
悪魔に、とやかく言われたくはありません !」
「可愛い後輩を悪魔の毒牙の犠牲者にはしません !」
「そうそう、私たちはより早く、ゴールインなんて認められないわ !」
おい、最後の一人は本音が 駄々漏れだぞ !
「わかった、わかった。 少なくとも、俺からは手を出さないよ !」
たくっ ! 人間界は面倒臭いぜ !
※ この物語は全作の続編に成ります。
物語後半に成りますが、蛍や蛍の兄や義姉が活躍しているので、よろしければ読んでくださいね。
【大江戸くんの恋物語】
https://kakuyomu.jp/works/16816700428963010578
先輩教師の
【 黒猫サファイアと三毛猫さくらの日常 ~ 猫魈?猫又! 日常は妖怪、吹き溜まり !! ~】
https://kakuyomu.jp/works/16817330656371904675
に登場する魔女の方々です。
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