第269話 命短し恋せよ乙女 ②
【蝶子side】
あぶない、あぶない。
まだ、蛍先生のことをあきらめていなかったね、嵐くん。
蛍先生はアザゼル先生に任せて、なんとか嵐くんを振り向かせないと !
クラスの出し物は『ハロウィン喫茶』に決まった。
調理担当を除いて、みんなで仮装するのよね。
由利子先生がいるから、セクシーな仮装をしたら一発退場になるのは目に見えている。
……と言うのも秋穂ちゃんや星華ちゃん達と一緒に衣装作りをしている時にふたりのお母さんの秋奈さんと聖子さんからアドバイスをもらったのよね。
なんでも、聖子さんや秋奈さんが学生時代の時に英里香ちゃんのお母さんの楓さんと一緒に隠れて『ミスコン』をしていたらしく、由利子先生に見つかって大変だったと話してくれた。
その辺りは、由利子先生は厳しいから無難な衣装を考えた。
正直、サキュバスの衣装を魔法少女の衣装に変えるのには苦労したけど、フリルを沢山つけて誤魔化すことにした。
星華ちゃんも秋穂ちゃんも嵐くんが好きなのは知っている。
もし、嵐くんが彼女たちのどちらかを選んだのなら許せたのかも知れない。
似たような立場からの挑戦。 ライバルだけど友達だから嵐くんが彼女達から選んだのなら納得できたのだとおもう。
アフロディーテの記憶を探って見ても、わたし達には友達が居なかった。
人間・夜野蝶子に成って、初めての友達。
それだけに、ポッと出て嵐くんの心を奪った蛍先生を認めることが出来なかった。
アフロディーテとしてでは無く、夜野蝶子は大江戸嵐くんが大好きなのだから。
◇◇◇◇◇
【嵐side】
妹たちに連れられて、地元のショッピングセンターに来ている。
デート用の服を買うためだ。
妹たち曰く、『嵐お兄さまのセンスはダメダメだから !』と言うことらしい。
妹たちは、俺以上に蝶子……アフロディーテを嫌っているようだ。
「プッ クッ クッ クッ クッ、まるでチンドン屋さんみたいなのじゃ !」
由利凛が容赦なく笑っている。
続いて、
「アッ ハッ ハッ ハッ ハッ ! 今度はチンピラに見えるのじゃ !」
由利凛。 てめえ、覚えていろよ !
後で、泣かしてやる。
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