第265話 一難去っても難は去らない ③

【于吉side】


「左慈。 彼女由利子先生に勝負して、勝てそうですか ? 」


 いつもなら、自信満々に『勝つに決まっている !』と言う左慈が青ざめた顔をしています。


「アノ女に勝てそうだと ?

 于吉、貴様は正気か ! 俺たち道士の術なぞ、力づくでぶち破られるぞ !」


 ……参りましたね。 そんなことを言われると試してみたくなるではないですか。

 自動人形オートマタの在庫整理もしたかったことですし、遊んでみましょうか。


 符術で私の工房の倉庫から自動人形を呼び寄せた。

 その数、二十四体。


「さあ、お前たち。 由利子先生や嵐くん達と遊んであげなさい !」


 自動人形たちが、それぞれに動き出し由利子先生や嵐くんに襲いかかりました。

 そのうちの三体ほどが、先ほどの店のおじさんに向かっていきます。

 アザゼルさんは警戒していましたが、たかだか化け猫一匹くらいで………… !


「狐火 ! 」「ワォォォーン !」「絶・猫魈抜刀牙 !」


 何処からか、妖狐と人狼、そして先ほどの化け猫が、私の自動人形を破壊した。

 なるほど、日本の妖怪もやりますね。

 店のおじさんは、もう一匹の化け猫に引きずられて店に入ってしまいました。

 残念ですね、人質には持ってこいの人物だったのですが。


 他の自動人形も大江戸兄妹に沈黙させられてしまいましたね。

 いやはや、ただの人間のクセにやりますね。


「さあ、于吉。 年貢の納め時だ ! お前の罪を数えろ !」


 嵐くんがどや顔で キメているようですが、貴方は何もしていないでしょう !

 ですが、まだまだ終わってはいないのですよ。


「太平妖術、超魔人形 ! 」


 私が太平要術を改良して創りあげた太平妖術、とくとご覧あれ。


 大江戸妹たちが破壊した自動人形が一つにまとまり巨大な自動人形へと進化していきます。


「さあ、左慈。 帰りますよ 」


「最後まで、見て行かなくて良いのかよ 」


「かまいませんよ。 単なる時間稼ぎと嫌がらせに過ぎませんから 」


 符術で造ったトンネルに入るめ左慈が入りづらそうにしていたので、左慈の後ろにまわりこんで穴の中に押し込んでしまいましょう。



 ◇◇◇◇◇


 無事に隠れ家に戻った、私達の目の前には破壊された元・隠れ家がガレキと成った姿に呆然ぼうぜんと立ちつくしてしまった。


「遅かったのです。

 待ってたのですよ、悪い子の皆さんを 」


 そこには、アノ異国の女神がニッコリ微笑み、筋肉ダルマが腕立て伏せをしていた。


 あっ、悪夢だ。 何故、どうして、こう成った !


 寝ている南華老仙さまの脇には、何故か、ニワトリが申し訳なさそうに、私達に頭を下げていました。




 ※作者より


 次回の更新は、20日か21日 木曜日を予定しています。

 よろしくお願いします🙇


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