第259話 コンテスト

【嵐side】


 9月だと云うのに、まだ暑いとは日本は南国にでも成ったのだろうか ?

 家から持ってきた水筒は、カラに成ってしまった。

 途中のコンビニで、冷凍の麦茶でも買おうかと思っていると、


「嵐、てめえ、どういうつもりだ !」


 こけるが血相を変えてきた。


「どうした青筋を立てて、とうとう海里にフラれたのか ? 」


 軽いジョークのつもりだったのに、こけるは苦虫を噛み潰したように、


「Web小説をみたぞ ! オメガポリスのファンタジー小説コンテストに参加している『ゴーストスイーパー☆嵐 』の作者は、おまえだろう ! 」


 ありゃ、さすがに実名は不味かったかな。


「なんで、おまえがS級ゴーストスイーパーで、俺が変体アシスタントなんだよ !

 創作とはいえ、捏造が過ぎるぞ ! 」


 こけるがWeb小説を読むとは意外だった。

 名前、考えるのは面倒臭いんだよな。


「嵐の駄作が100番台なのに、俺の名作が1500番台なんて、納得がいかん !

 何故だ ? 」


「フッ、坊やだからさ ! 」


 と言ったら、いきなり殴りかかってきた。

 本当は友達が居ないからだけど、指摘するのは可哀想だから黙っておこう。


 ♟♞♝♜♛♚


「いいか、ヨムカクでも言えることだが『読まれない地獄』が嫌なら、お前も他の作者の作品を読みに行け !

 オメガポリスなら感想を、ヨムカクなら💙応援🌟評価を付けて足跡🐾を付けて、執筆友人を作るんだ !

 オメガポリスのコンテストは順位は、あまり関係なく審査されるが、ヨムカクでは順位が低いと読者選考で落ちるぞ ! 」


 俺も底辺に居る作者だが、こけるは最低辺にいるからアドバイスをした。

 身近に執筆仲間が居ることに嬉しくなり、ついついアドバイスをしたが、コイツはライバルに成るかも知れないからな。


 後ろでは、妹たちに合流した海里が此方をチラチラ見ながら話しているから、俺たちの小説のことでも話しているのだろう。


 ♟♞♝♜♛♚


【由利凛side】


 納得がいかないのじゃ !

 前を歩いている、嵐お兄ちゃんとこける君の話しが聞こえてくるのを、耳をすませて女神イヤーで聞いている。


 妾の作品『奥様は邪神ちゃん !』の順位が、こける君の順位と変わらないのが、納得出来ないのじゃ !


 海里ちゃんが、明日菜ちゃんや英里香ちゃんに愚痴を言っている。

 こける君の作品は、テンプレの『俺様ツエー・ハーレム』の物語らしく、海里ちゃんには面白く無いのだろう。

 相変わらず本能に忠実と云うか、こける君の本体の帝釈天が元々、女好きの影響なのか知らないけれど、時代遅れのこける君の作品にまで負けるのは納得出来ないから、嵐お兄ちゃんのコンテスト攻略法を聞いていたのじゃ。


 しかし、嵐お兄ちゃんの攻略法が『友達作戦』だったとは、気がつかなかったのは不覚だったのじゃ。

 ウゥゥ、書くことに夢中で、読みに行かなかった妾の不覚なのじゃ。

 こうなったら、今からでも『 Z 』旧ツブヤイターで宣伝するのじゃ !



 ─── 『 Z 』旧ツブヤイターで宣伝した由利凛。 結局、効果が無くて嵐の『友達作戦』を採用して、ヨムカク9ヨムカクコンテストに参加することを決意するのだった ───


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