第257話 迷探偵アラシ

【嵐side】


 現在、俺の灰色の脳細胞はフル回転していた。

 英里香女神エリスの話しだと、アノお花畑夫婦に指示している存在が居るらしい。


 親父ゼウスお袋女神ヘラは人間の世界に干渉はしないだろうから導かれる存在は、


「真実は一つ ! 犯人はお前だ、アザゼル ! 」


 金も食料も食い潰したダメ悪魔は、中等部の給食が始まるまで待てなくなり、大江戸家にタカりにきていた。


「*£$¢¥℃§………」


「口に入っているモノを飲み込んでから話せ ! 」


 子供か、このオッサンアザゼルは !

 母ちゃん大江戸瞳から渡された麦茶を、ごくごくと飲んだ後に下品にもゲップをしやがった !


「冤罪だ ! 仙人たちの隠れ家を探してはいたが、ヘラクレスたちに指示なんて、するワケ無いだろう !」


「「嘘だぁぁぁぁぁ ! 」」


 ビクゥ !


 俺と由利凛が同時に言うと、ビクついたのが証拠だ。



「お前がやったんだろう。 正直に話した方が楽になれるぞ 」


「だから、違うって言っているだろうが !

 お前の方が、よっぽど悪魔に向いているぞ、軍神ちゃん !」


「んだとぉぉぉ~、オリュンポス十二神で一番のイケメン神が悪魔に向いているワケが……


 ベキッ ! 「グヘッ !」


 俺の頭を叩いた奴を見ると、明日菜が竹刀を持ってにらんでいた。


「なんだよ、俺が先に犯人にたどり着いたのが悔しいからって、叩かなくてもよいだろう ! 」


 バキッ ベキッ ボコッ !


 フー、フー、と息を乱しながら睨んでいる明日菜。

 アカン、下手なギャグを言ったら逆効果だ。

 冗談が通じないからな、女神アテナは。


 俺の方が傷付いているのに、明日菜の方を心配する英里香とパラス妹たち

 俺の扱い方が酷くない、君たち。


 ポン !


「ドンマイ、軍神ちゃん ♪」


 悪魔に同情されるなんて……

 アザゼルは喰うだけ食って帰ってしまった。

 手には土産まで持っている。

 アザゼルが先生だからって、土産まで渡すことないのに母ちゃん、お人好し過ぎるぜ !


 とりあえず、容疑者が一人消えた。

 そうか !


「真実は一つ ! 犯人はロッキー=アスガルド邪神ロキ だ !」


 ドッカーン ! ゴロゴロ ゴロゴロ



 何者かがドロップキックをしてきて、俺は吹っ飛んでしまった。


 起き上がると、ロッキーが睨んでいた。


「自転車旅行から帰ってみれば、いきなり人を犯人扱いにしやがって !

 嵐、お前には土産をやらないからな ! 」


 しばらく見なかったと思っていたら、自転車旅行に行っていたのかよ !


 由利凛が近づいてきて、


「嵐お兄ちゃんはアホなの ?

 ロッキーが、ご当地ラーメンの食べ歩きをするって言っていたよね 」


 そう言い残して、ロッキーの側まで駆けて行き、ロッキーから土産を受けとると、これ見よがしに中身を見せてきた。


 ご当地ラーメンの詰め合わせかよ!

 よし ! 後から、由利凛からラーメンを奪ってやろう。



 ── 頭の中が、ラーメンでいっぱいに成った嵐は、すっかり犯人のことを忘れていたのだった ──


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