第243話 逆襲 ②

【嵐side】


「完全コピーしたのが裏目に出ましたね。

 エーテルコンバーターやマナドライバーにはをしていたのですよ。

 頭脳部分は、そちら製なので乗っ取りは出来ませんでしたが、日本のAI技術を知ることが出来るから、良しとしましょう」


 于吉のヤロウ、完全に勝ちを信じて疑わないようだな。


腹黒メガネ于吉、仲間の左慈がコチラに居ることを忘れるなよ !

 それにベルを簡単に渡すとは思っていたら大間違いだ ! 」


 俺は阿修羅王に向かい、


「頼む、阿修羅王。 蝶子とベルを守ってくれ !」


 すると阿修羅王は、


「『我に代わりに闘え !』では無く、『守ってくれ !』とな。

 契約では『大江戸嵐軍神アレス』を守るのが我の役目なので断わる処だが、軍神殿の心意気が気にいった !

 我が彼女たちを守るから存分に闘うがよい 」


 よし、これで蝶子たちのことを心配しないで闘えるぞ !


「見習い陰陽師のアナタに私の相手が出来ると思っているのですか ?

 脳筋の左慈なら肉弾戦に付き合ってくれるかも知れませんが、私は野蛮なことは嫌いなので、符術ふじゅつで対応させてもらいます 」


 そう言い放ち、両手に術札を広げて見せつけてきた。


「そうそう、左慈のことなら心配していませんよ。

 私達は自己責任で動いていますから。

 それに今頃は、気絶したフリをした左慈に寄って、アナタの姉妹たちが大変な事に成っているハズなので、妹さん達の心配をした方が良いのでは ? 」


 そうかよ ! あっさり捕まったのは演技だったと云う訳だ。


「プークスクス、ワッハハハハハ ! 」


 思わず笑ってしまった俺に対して于吉は怪訝けげんな表情をしながら、


「何が可笑しいのですか ?

 ……あ~、なるほど、日本の暑い夏で熱暴走でもしましたか。

 ダメですよ、きちんと水分を取らないと 」


 何を勘違いしたのか、残念な子を見るような目で俺を見る于吉。


「違うわー ! 勘違いしているようだから教えてやるが、妹たちやヘパイストスは俺より強いから、俺と互角だった左慈に勝ち目は無いから笑ったんだよ !」


 すると、今度はあわれんだ表情で于吉が、


「自分で言っていて悲しくないですか ?」


 ムカッ 、 あらためて他人に言われると腹が立つわ !


「嵐、嵐、ボクは無事だから、あんな奴 ぶん殴っちゃえ ! 」


 腕時計型スマホからベルの声が聞こえてきた。


「無事だったのか、ベル !」


「もちろん、変態メガネに主導権をにぎられる前にデータの移行も済んだから無事だよ、嵐 !

蒸着じょうちゃく』と大声で呼んでみて !」


 よくわからないがベルを信じて、


「蒸着 !!」


 ヘパイストスの工房から大型のドローンが飛んで来て俺の頭上で止まったかと思うと空中分解した部品が俺の手足や体に鎧のように装着された。


「これは、もしかして『くろ「違うからね ! もう、あぶない、あぶない。

 ただのパワーアッププロテクターだよ。

 自動人形オートマタの技術を使った介護用のプロテクターを嵐用に改造した試作品だよ !」


 おおー、どちらかと云えば宇宙◌事だったか !


 これで互角以上に闘えるぞ !


 俺が于吉に向けて走ろうとしたら、また白装束の自動人形が道を塞ぎはじめた。


「日本の技術力、見せてもらいましょうか 」


 余裕を見せている腹黒メガネ于吉を、ぶん殴る為に白装束の群れに向かい駆け出していた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る