第239話 知恵の女神と鍛治神の好奇心

【嵐side】


  自動人形オートマタの残骸を土産にヘパイストスに渡したら、ものすごく喜んで工房に引きこもってしまった。

  巧の手伝いをしているジャンヌだけで無く、知的好奇心が刺激されたのか、明日菜女神アテナ英里香女神エリス由利凛邪神ユリリンまでもが興味を持ち、巧の手伝いを申し出た。

  どんな塩梅あんばいなのかと工房を覗くと、


「この骨格、ショックアブソーバをつけて、耐久性と緩衝能力をあげるぞ 」


「流石、巧お兄さまヘパイストス

  于吉の自動人形オートマタは、まだまだ改良の余地があるのね 」


「エーテルコンバーター ?

  マナドライバー ?

  巧お兄さま、これって ! 」


「おそらく、魔法科学が進んだの技術だな 」



  巧、英里香、明日菜の会話を聞いて、話しが、とんでもない方向に成りそうだぞ !


「つまり、左慈と于吉は異世界人か身近に異世界人の協力者が居ると云うことなのじゃな、巧お兄ちゃん ! 」


  由利凛が、ユリリンが、マトモな事を言っている !


「つまり、そいつは魔法工学師と言ったところか 」


「頭脳部分は、どうなっているのかしら ? 」


  英里香がレーザーメスを持ちながら、解体しようとしている処で、ソッとドアを閉めた。


  ヤバい 、アイツらマッドサイエンティストだ !


  ここに居ると、何を手伝わせるか分かったもんじゃないな。


 〖クックックッ、ギリシャ神話の神々も面白い奴らが居るものだな 〗


  何故か、居着いてしまった阿修羅王。

  こけるに返そうとしたが、拒否されてしまった。


  こけるから最初に呼び出された阿修羅王の最初の命令は『嵐を守れ!』だったらしく、期限を切らなかった為に阿修羅王が勝手に命令を曲解して、俺の側から離れなく成ってしまった。


  こけるや磐長姫子さんが式神を使役していたのを見て羨ましいと思っていたが、俺が制御出来ない式神を貰っても嬉しくないぞ。


  まして、阿修羅王なんて、バリバリの戦闘狂じゃないかよ !


 〖失礼な奴よな、軍神アレスよ ! なんじこそ、と言われた癖に 〗


「 勝手に俺の頭の中をよむな !」


 〖クックックッ、他にも知っているぞ。

 粗野で乱暴、野蛮で残忍、不誠実で雑な性格、主神ゼウスにさえ、『オリュンポスにいる神の中でお前が一番キライ』と言われた事とか有名だからな 〗


「 うっ、うるせー ! 昔のことを、いちいち持ち出しているんじゃねぇー !」


「大人気ですねぇー、アレスお兄様は 」


「言った通りでしょう、エイレイテュイア出産の女神


「ええ、呼んでくれて感謝してますわ、ヘーベー青春の女神


  また一柱、妹がオリュンポスから来てしまった !


「おい、ヘーベー。 エイレイテュイアまで呼んだのかよ ! 」


  しかし、ヘーベーは悪びれもせずに、


「退屈なオリュンポスより刺激的な日本、それもアレスお兄様の周りを観察……見学するのは、何よりも娯楽……勉強に成るですね ! 」


  コノヤロ、本音が駄々漏れだぞ !


アレスお兄様アフロディーテ蝶子が結婚した時には、無事に赤ちゃんが生まれるお手伝いをしてあげますわ ! 」


  エイレイテュイアが、とんでもない事をのたまわった。


「 だ・か・ら、は竜ヶ崎蛍 一筋なんだよ !

  人間に成ってまで、アフロディーテ蝶子と一緒に成ってたまるか ! 」


 俺の心の雄叫びを無視して、二柱の妹は ゴニョゴニョと密談している。

 アイツら、ろくでもないことをたくらんでいるんじゃないだろうな !


 阿修羅王は、妹たちの密談が聞こえているらしく、ニヤニヤとしながら、俺と妹たちとを見比べていた。


 いったい、何を企んでいやがる、ヘーベーとエイレイテュイア !



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る