第238話 于吉 VS こける
【嵐side】
阿修羅王が最後の岩を砕き迷路から脱出した時には、既に于吉とこけるの闘いは始まっていた。
俺と佐治のような肉弾戦では無く、御札などを使った術戦だ。
まさに陰陽師らしい闘いに嫉妬しそうに成るぜ。
「チの十八式 不動明王火炎呪 !」
こけるの火炎放射器のような攻撃を于吉は御札を使いながら防いでいる。
「こけるって、強かったのね。
こけるの術の発動速度に于吉は防戦一方よ 」
いつの間にか、下に降りて来ていた英里香が冷静に分析している。
「于吉も道術を使おうとしているようだけど、こけるの陰陽術の発動速度が、あまりに早いから攻撃することが出来ないのね 」
「そういえば、海里が言っていたが、今 こけるが使っている陰陽術は威力より発動速度を重視した簡易呪文らしいぞ。
海里の話だと、こけるが開発したらしいが……」
俺の説明に英里香の目が大きく開かれた。
「そう。 普段のとんでもないスケベな事をしでかす、こけるの姿はあの巨大な力を隠すためのフェイクなのね。
流石、中身が帝釈天だけあって、すっかり騙されたわ 」
英里香が壮大な勘違いをしている。
普段のスケベも優秀な陰陽師、どちらも
「このままでは、
使いたくありませんでしたが、切り札を切らせてもらいます 」
于吉がそう言ってから、仲間の白装束に合図をすると、白装束たちは大きな木箱を持ってきた。
于吉が木箱を開けると、くすんだ
「ふふふ。
そう言って、
「于吉の奴、アンナボロい鎧で、どうにか出来るとでも思っているのか ? 」
英里香が俺をマジマジと見てから、ため息をして、
「無敵の鎧『カヴァーチャ』よ。
インド神話に登場する『不死身の英雄カルナ』が装備したとされる黄金色に輝く鎧のことなの。
その鎧は、装備している限り、決して死ぬことはないとされているのよ。
しかし、一たび装備してしまえば、決して脱ぐことはできないとされているの。
嵐お兄さまは、一応軍神なんだから、これくらいの常識は覚えてくださいね 」
ウグゥ、我が妹ながらキツいなぁ~。
ギロッ !
「嵐お兄さま、何か言いたげな顔をしていますが、何を言いたいのかしら ? 」
顔は笑っているが、目が笑って無いぞ、
…………とりあえず、話題を
「無敵の鎧が相手なら、こけるの負けは決定的なのか ?」
俺が英里香に質問すると、
「本物のカヴァーチャならだったらね。
今の時代に神器なんて地上に残っているワケ無いでしょう。
ましてや、『カヴァーチャ』クラスの神器なら
「それじゃ、アレは……」
こけるは、
「
こけるの金剛杵からビームサーベルのような光の刃が出てくると、その剣を于吉に目掛けて振り下ろした。
ドーオォォン !
こけるの
真っ二つに成ってしまった于吉。
いくらなんでもヤリスギなんじゃないか !
神から人間に転生して甘く成ったのかも知れないが、日本人の道徳観念にドップリ浸かっているせいか、こけるの攻撃が
チョン チョン、腕時計型スマホが俺の手首を突付くとベルが現れて、
「嵐、 良く見て見なよ !
于吉と云う男は
あの真っ二つに成ったのは人形だからね ! 」
ベルの言葉に、あらためて観察すると、于吉だけじゃなく、白装束の奴らまでが人形だった。
「
本物だと思いましたか ?
私は泥臭く闘うなんてしませんよ、左慈じゃあるまいし。
まあ、今回は良いデータも取れたことですし、引き分けと言うことで……「破っ !」
于吉が言い終わる前に、こけるが手から気功破みたいなモノを出して、于吉だった人形を破戒した。
こけるも相当、腹を立てていたのだろうか。
しょうがない。
── 嵐の持ち帰った
その結果、驚きの展開に成ることに、この時の嵐には想像も出来なかった ──
※作者より
リアルの仕事が忙しい為に次回の更新は未定です。
出来れば、木曜日には再開をしたいと思っています。
よろしくお願いします🙇
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