第216話 酒呑童子 ②
【嵐side】
酒呑に『どちら様が魔王様ですか ? 』と聞かれた由利凛と蝶子がお互いを指差した。
「
蝶子の何処が魔王なの~ !? 」
「
妹たちは必死に笑いを堪えている。
確かに、いいえて妙な発言だしな。
てっ云うか、酒呑の奴は
「ゴホン、そろそろ茶番劇は終わりにして、真剣な話があるんだ、酒呑童子 」
こけるが真面目な顔をしながら酒呑に言うと、酒呑も真面目な顔に成り襟をただした。
コイツら、実は似た者同士だな。
普段はオチャラケているが、スイッチが入ると真面目に成ると云う奴だ。
「それで、陰陽師殿は俺達を退治しに来たので無いなら何の用事で来たんだ ?
遊びに来たなら歓迎するのも やぶさかではないが 」
「実は北欧のとある国からの避難民の中に吸血鬼が居る。
出来れば、その吸血鬼と連携を取って欲しいんだ。
吸血鬼を追って、バンパイアハンターが入国してしまったから、奴らからの攻撃に対応して欲しい。
単独で俺を含めた一部の陰陽師もバンパイアハンターに対して妨害工作が出来るが、国は積極的には動けない状況なんだよ 」
酒呑は腕を組ながら考え事をするように目を瞑りながら話し始めた。
「俺達『鬼』と吸血鬼は別の種族だぞ、何の為に俺達が吸血鬼に協力せねば成らぬのだ ? 」
難しい顔をしながら質問する酒呑。
コイツ、もしかしたら脳筋じゃ無くて頭も使えるのか ?
「バンパイアハンター、否 アイツら狂信者は人外の者を目の敵にしているから、対応して欲しいんだ。
妖怪たちは、既にまとまっているから大丈夫だろうが、お前たち『鬼』と吸血鬼は孤立しているから、奴らの格好の的に成ってしまう 」
その時、子供たちが見ていたテレビから臨時ニュースが流れた。
── 只今、ニュースが入りました。
空港で逮捕されたテロリストの仲間の一部が既に国内に潜伏してることが判りました。
その一部のテロリストが神社などに入り込み、
『神は
ここに入っている金は、我々が没収するからな ! 』
と叫びながら破壊活動をしていたのを、通報で駆けつけた警察官たちが現行犯逮捕をしました。
テロリスト達は『不当逮捕』だと叫んで折り、まだ他にもテロリストの仲間が潜んでいるようですので、国民の皆様は充分に気を付けてください。
尚、怪しい外国人などがおりましたなら、直接に対応しようとせずに『#110』まで通報してください。
次のニュースです。
宇宙真理党の
談話です。
『我が国は助けを求めて来た避難民を、断じて侵略者に渡したりはしません !
他の国々と協力して真ソ連に対して抗議します 』
次のニュースです。
奈良公園の鹿がストライキを決行して問題に………
プチン !
テレビを消した酒呑は、ニヤリと笑いながら
「いいぜ、協力してやる !
この時代の勇敢な女性首相に免じて協力してやるよ 」
日本初の女性首相のことを気に入っているらしい酒呑童子は妙に人間臭かった。
俺達は吸血鬼を連れて再び来ることを約束した。
※作者より
次回、7日 水曜日を予定していますが、遅れてしまったらごめんなさい🙇
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