第176話 懲りない男と女神たち ②

【英里香side】



「こんにちは、ボク道頓堀どうとんぼりこける。

 一緒にお茶しませんか、綺麗なお姉さん ! 」


 ズコッ ×3


 ちょっと、ちょっと、ぬいぐるみを通じて聞こえてきた、


〖待って、待ってくれ !

 心を入れ替えて真人間になるから捨てないでくれ !〗


 とか言っていたのは、どうなったのよ !



 私達に気がついたのか男が近づいて来てナンパするつもり?


「やっぱり、この間見た美人だと思ったら、中坊ちゅうぼう(中学生)だったのか。

 う~ん、残念 ! 後、5年程したなら俺のストライクゾーンなのになぁ~ 」


「失礼な奴ね、貴方 !

 真人間に成るんじゃなかったの、まったく反省していないわ !」


 売り言葉に買い言葉、思わず言い返すと、


「何故、それを知っているんだ。

 あの夢の出来事は誰にも話していないのに ! 」


 ウッ、しまったぁ~。

 神族はことは禁忌とされているから本当のことを話すしかないわ。

 とぼけると逆効果に成りそうだしね。


「それは、私が女神だからよ……」


 きちんと本当のことを言った私の額に男は手をあてて、


「フム、熱は無いようだな。

 厨二病もほどほどにしないと後で後悔するよ、自称 女神さま 」


 ムカッ


「失礼な奴ね !今は人間に転生しているけど、私は女神エリスよ !」


「あぁ、幸福の女神さまね。

 アニメの見すぎで成りきっているんだね 」


 ムカッ ムカッ ムカッ !


「私はよ !

 パット女神と一緒にしないでよ ! 」


「ア~、はい はい、マイナー漫画かWeb小説の駄女神さまかなんかだろう。

 知らんけど悪かったよ ! 」


 ムカッーア !


 私が飛び掛かろうとした処で明日菜とパラスに止められてしまった。


「それなら女神アテナならだから知っているでしょう 」


 明日菜、ズルいわよ !

 パラスが、黙っているのは自分の逸話いつわを知っているからね。


「もちろん、有名だから知っているよ。

 少年趣味のショタハーレム女神…………


 言い終わる前に明日菜アテナのグーパンチが男の顔に命中したせいか、男は沈黙した。


 私も気が短い方だけど、貴女アテナには負けるわ。


「悪は滅びました。

 これからは、真人間に成るのですよ 」


 ……無理やり取りつくろったわね。

 流石に気絶したのかと様子を見ようとすると、


 ムクッ


「あ~、死ぬかと思った !

 お嬢ちゃん、あんまり乱暴だとが台無しだぞ 」


 そう言いながら、明日菜の頭をナデナデしている。

 のつもり !


 いくら明日菜アテナでも、ちょろインであるまいし舐めているの……と云うか、何故 反撃しないのよ、明日菜アテナは !


 まさか、アルテミスお姉様がダメ男オリオンと仲良くなってしまったようにはならないわよね !


 その様子を見ていたパラスまで自分の頭を出して、


「明日菜が気持ちよさそうだから、私の頭もナデナデして、ダメ兄さん !」


 パラス、アンタもかぁー !


 あまり男に免疫の無い二柱の女神が、そろってダメ男になついたら、嫉妬深いアポロンお兄様が何をするか解らないわよ !


 ニワトリヘルメスには、口止めしないと大変なことに成ってしまうわ。


 ア~、頭痛がしてきたわ……

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