第173話 妄想 ! 妄想 ! 大暴走 !
【嵐side】
「待て~い !
愛し合う二人を引き裂かんとする者よ。己が姿を見るがいい。自らの醜き欲望に抗うこともせず、ただ心に暗き情念の炎を燃やす。人、それを……『
「き、貴様! 何者だ!?」
嵐流・天空宙心拳の使い手である俺は口上を述べる。今、俺の中に偉大なるクロノス族のお兄さんの魂が宿った!
「き、貴様! 何者だ!?」
「貴様等に名乗る名前は無い!」
「サンダー・パ~ンチ ! 」
「サンダー・キッ~ク ! 」
「稲妻サンダー・キッ~ク ! 」
邪教徒どもを、バタバタと倒す俺の姿に巧やジャンヌ、妹たちも釘付けだ。
「ば、馬鹿な……! 全滅!? 三十人以上いた部下達が、三分も持たずに全滅だと!? 貴様は……貴様は何なんだぁ!?」
「悪しき星が天に満ちる時、大いなる流れ星が現れる。その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる……! 人、それを……『裁き』という!」
きっ、決まったぁ~、俺カッコいい !
蛍に見せたら惚れ直すに違いない !
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
【由利凛side】
「ねえ、嵐お兄さまは、目を閉じて奮えているけど、風邪をぶり返したのかしら ? 」
明日菜ちゃんが心配しているけど……
「心配するだけ無駄よ、明日菜。
どうせ都合の良い妄想でもしているのでしょう ! 」
流石、英里香ちゃんは、嵐お兄ちゃんのことを良く知っているのじゃ。
巧お兄ちゃんからの『SOS』メールを見て、巧お兄ちゃんのスマホのGPSをたどってきたら、既に悪い奴らが倒れていたのじゃ。
お兄ちゃんの手には聖剣が握られていたけど、やがて光の粒子に成って消えてしまったのじゃ。
「フウ~、疲れたよ。
漫画知識から無理やり神力で魔術モドキを行使したが、お陰で神力が空っぽに成ってしまった。
すまないが、後は頼んだぞ 」
そう言って気を失った、巧お兄ちゃんを明日菜ちゃんや英里香ちゃんが運ぼうとしたら、
「明日菜さま、英里香さま、巧さまは私に運ばせてください 」
そう言って、巧お兄ちゃんをお姫様抱っこをして運び始めたので、あわてて妾や恵利凛、明日菜ちゃんや英里香ちゃんが帯同することにしたのだけれど……
ジャンヌちゃんが凄く優しい目で巧お兄ちゃんを見詰めていることに気がついたのじゃ。
…………。
「ねえ、由利凛。
何時もなら、からかう貴女が黙っているのが
うっ、英里香ちゃんが
「妾だって、空気を読むのじゃ!
巧お兄ちゃんは、女運が悪いから相手がジャンヌみたいな優しい生真面目な女の子が相手なら応援するに決まっているのじゃ ! 」
「なら、嵐お兄さまは、どうして からかうのよ。
もしかして由利凛は、嵐お兄さまのことが好……「嫌いじゃ無いけど、ハーレム野郎は、お断りなのじゃ !
妾は凪のような素直で優しい男の子が好みなのじゃ ! 」
……何故、残念そうにしているのじゃ、明日菜ちゃんも英里香ちゃんも。
妾を からかうなんて無駄なのに…………アレ ?
「パラスちゃんは? 」
英里香ちゃんが指を指した方を見ると、妄想にふける嵐お兄ちゃんを間近で観察していたのじゃ…………まさか……ねっ……。
明日菜ちゃんもパラスちゃんも男の子に興味の無い処女神だったんだから、あり得ないのじゃ……たぶん、きっと。
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