第164話 バレンタインデー、Before

【由利凛side】


バレンタインデー前日のせいか、男子も女子もソワソワしているのじゃ。

当然、妾も凪にバレンタインチョコを用意した。

手作りではなく買ってきた奴だけど、凪なら喜んでくれると信じているのじゃ。

皆は落ち着きが無いけど、ジャンヌならバレンタインデーに反発していると思い見ると、ジャンヌの机の上には小さな包みが置いてあり、微笑みを浮かべていた。


「なぁに、なぁに、ジャンヌもすみにおかけないわね。

でっ、相手は誰なの ? 」


「ジャンヌと接触があったのは、アザゼルやアシュタロト、マモン、ベルフェゴールの悪魔と凪くん、マーズくん、ロッキー、嵐お兄さま、巧お兄さま、よね 」


英里香ちゃんも明日菜ちゃんも興奮しながらジャンヌを事情聴取しているのじゃ。

女神とは云え、今は普通のJC女子中学生に成っているのじゃ。


最近、ギャルゲームの主人公みたいに成っている嵐お兄ちゃんのような気がしてハラハラするのじゃ。


「はい、巧さまに御礼かわりに用意したのですが、偶然にバレンタインデー? とやらに重なっただけなのです 」


「御礼 ? 巧お兄さまは何をしたのかしら ? 」


「はい、実は私が昔使っていたよろいの修繕をして頂いたのです。

長い間手入れをしてはいたのですが、関節部分などの磨耗が激しくて修復出来ずにいたのですが、巧さまが手を差し伸べてくださり、昔以上に綺麗に使い易く成りました。

流石、鍛冶神ヘパイストス様ですね 」


「ええ、自慢の兄さまです 」


ジャンヌと明日菜ちゃんが会話をしている中、英里香ちゃんが説明してくれたのじゃ。


「明日菜、アテナは相変わらず良い子ちゃんよね。

嵐、アレスお兄さまとは戦争兄妹喧嘩をしたこともあるし、アフロディーテの浮気で苦しんでいた巧、ヘパイストスお兄さまに言い寄られたことも有ったと云うのに平然と『自慢の兄さまです』なんて言葉が出てくるんだから、私にはマネ出来ないわね 」


確かに、エリスちゃんなら上手く立ち回りそうな気がするのじゃ !

酸いも甘いも知っているエリスちゃんならアレスお兄ちゃんを逃がさないだろうし、言い寄られてもアシライが上手そうなのじゃ。


「 今なら私だって上手くやれますよ !

幸福の女神さま、パットがズレていますよ 」


おおー、何時になく挑戦的な明日菜アテナちゃんなのじゃ。


「私は、使

『名前が同じだからと言ってパット女神幸福の女神と一緒にするな !』

と何度言ったら覚えるのよ、逆ハーレム女神は ! 」


クラスメイトは、静かに机と椅子を端に寄せて避難しているのじゃ。

戸惑いを隠せないジャンヌの手を引いて避難させてあげるのじゃ。


「女神さま、よいのですか 、止めなくても !」


ジャンヌがオロオロしながら心配しているのを見て、


「単純にじゃれているだけだから、放っといても大丈夫じゃ !

少なくとも英国と仏国よりは仲が良いから心配するだけ損なのじゃ 」



「イングランド野郎と一緒にされたくは有りませんわ !

イングランド野郎は、せっかくの良い紅茶にもミルクを入れてミルクティにしてしまうし、イングランド料理なんて………


慌てて、ジャンヌの口をふさいだのじゃ。


「誹謗中傷は御法度なのじゃ !

壁に耳あり障子にメアリー と言って通報されると削除されてしまうのじゃ ! 」


「何をしているのよ !」


風邪で休んでいる嵐お兄ちゃんに代わって英里香ちゃんが突っ込みをしてきたのじゃ。


星華ちゃんや秋穂ちゃんがチョコを用意しているのに、相変わらずダメなお兄ちゃんなのじゃ !

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