第163話 ドリーム・ファンタジー

【嵐side】


 ドラゴン・ファンタジー改め ドリーム・ファンタジーに生まれ変わったゲームで俺達のクラン『黄金の日日』は、新しい目標を立てた。


 スローライフゲームに変わったので、自分達の開拓村を創ることにしたのだ。

 幸い、由利凛のノームが三人も居るので、畑などの開墾かいこんは問題無いハズだ。


 場所は、少し離れた所にある小島を皆のエンジャーお金を集めて買うことにした。


 変わったと思った運営だが、開拓村を襲う盗賊NPCまで実装されたのだ。

 当然、開拓村を襲うのは、ゴブリンやオークなどのモンスターも居て、


「何処が『スローライフ』なんだよ !」


 と思わず文句が出てしまったが、あまり簡単過ぎると飽きられてしまうから、厳しめの設定に成ったようだ。


 襲ってくるのは、NPCだけで無くプレイヤーも盗賊プレイをする者が現れることを警戒して、離島に開拓村を創ることに成ったんだ。



 ♟♞♝♜♛♚


 離島に到着して海岸近くに拠点を設けた。

 これから離島を探索しながらモンスターを狩るのだ。

 そんなに大きな島では無いから、ゴブリンくらいしか居ないだろうが、奴らは『G』と一緒で直ぐに増えるから撲滅しないとな。


 二手に別れて海岸線を歩き、夕方には落ち合うことが出来た。

 ここまでは、モンスターは現れ無かったので、今度は島の中央にあるテーブルマウンテンに向かって行くことにした。

 最初の開拓村は、テーブルマウンテンの上に設けることに成った。

 情報ギルドの話だとテーブルマウンテンの上にも湖があるから水には困らないハズだよな、ゲームだけど。


 目的地に向かい進んでいくと案の定、敵が現れた。


 パイレーツだ !


 昔の女性お笑いコンビでも千葉県流山を舞台にした野球チームでも無く海賊だぞ !


 なるほど、NPC海賊の本拠地がこの島だったのか !

 多勢に無勢とは云え、俺達の敵では無く直ぐに捕縛することに成功した。

 陽野芽や星奈も居るから、NPCとは云え殺すのを止めた為だ。

 子供の情操教育に悪いからな !

 それに、島を買ったから皆、サイフがすっからかんだったから丁度いい。

 この海賊達を、ファーストの街の領主に渡して賞金を貰うとしよう。



 ♟♞♝♜♛♚



 うむ、従魔たちの活躍で、かなり開拓村が整備されてきた。


 テーブルマウンテンには、沢山の住居と畑が出来て、湖畔にはバーベキューが出来る施設も出来た。

 NPCパイレーツの賞金でモグラ型モンスター『ドリモグラ』をテイマーズギルドからレンタルして、露天風呂まで創る熱の入れように女の子達の本気度が判るな。


 そうか、皆は スローライフをしたかったんだな。

 学生生活も勉強やスポーツなど忙しいから……


「売れた、売れたわよ !

 オークションに掛けた『開拓村』が丸ごとそっくり高値で売れたわよ ! 」


「何処の人が買ったのじゃ ? 」


 英里香と由利凛は、いったい何の話をしているんだ ?


「個人な訳無いでしょう !

  MARUYAMAと云う出版社が社員の保養地に買ったのよ ! 」


 俺が不思議そうにしていると明日菜が、


「皆で、デザートバイキングに行く資金稼ぎの為に、『開拓村』をオークションに掛けていたのよ !

 企業戦士は、自由な時間が少ないから、ゆっくりゲームも出来ないのよ。

 だから、ある程度 完成した『開拓村』を売りに出したの。

 未完成だから、後は買った人がカスタマイズ出来るように成っているのよ 」


 ……世知辛せちがれぇ~~ !

 俺の純情を返せ !



 もちろん、俺もデザートバイキングを楽しんださ !

 旨かったから、心の広い俺は許してやることにした。

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