第160話 学年末テストと留学生

【嵐side】


「交換留学生が私たちのクラスに入ります。

 ジャンヌさん、入ってください 」


 ジャンヌが俺たちの教室に入って来た。


「ジャンヌ・ルーラ=オルレアンです。

 皆様と一緒に勉強出来ることを光栄に思います。

 仲良くして貰えると嬉しいですね 」


 ジャンヌの凛とした姿に男女問わずに見惚れていた。

 まあ、本物の聖女だから仕方無いよな。


 席は、何故か俺の隣の席に成った。

 明日菜や英里香たち、女子生徒は固まって座っているから、空いているのは男子生徒の席の辺りなんだが、他にも空いているだろうに。


「嵐さま、よろしくお願いしますね 」


 丁寧に挨拶するジャンヌに、


友達ダチなんだから、『』なんて付けるなよ !

 これからも よろしくな、ジャンヌ 」


 堅苦しいのは苦手なんだよ !


「……はい、嵐 」


 ジャンヌが俺達、大江戸ファミリーに入ったと皆が認識したと云う話は、後から由利凛に聞いた。


「お兄ちゃんは、無自覚・鈍感系主人公でも目指しているの ? 」


 誰が鈍感なんだよ !





 ホームルームで担任の真知子先生から、学年末テストのことが発表された。

 途端に教室中から、ブーイングが起こった訳だが、学年主任 兼 副担任の由利子オバチャンが睨むと静かになった。

 まあ、3学期にある学年末テストは試験範囲が広いからな。


 例のごとく、星華や秋穂も誘って試験対策の勉強会でもやるか…………ジャンヌと蝶子も誘わないとな。


 そのことを、妹たちや由利凛たちに話したら、


「やっぱり、無自覚・鈍感系主人公なのじゃ! 」


 失礼なことを言う由利凛に妹たちもうなずいている。


「お兄ちゃんは、『軍神』から『タラシ神』にジョブチェンジしたのじゃ ! 」


 明日菜や英里香が抑えきれずに笑いだした。


 誰が、なんだよ !

 知らない奴が聞いたら誤解するだろうが !


 俺は、



 ♟♞♝♜♛♚


【ヘルメスside】


 父上ゼウスの命令で、アテナやアレスたちを観察していたが…………羨ましくなるくらいに人間としての生活を満喫している。

 やはり、安易にニワトリに変身したのは失敗だった気がする。

 アフロディーテに保護されたから、猫たちに襲われる心配は無くなったが……アフロディーテと違い蝶子は、私を完全にニワトリと思っているらしく、鳥のエサしか寄越さないのだ。

 別に食べなくとも大丈夫なのだが、せっかく下界である人間世界に居るのだから旨い食べ物を食べたく成るのは、神も人間も一緒だろう。



 ♟♞♝♜♛♚


【嵐side】


 一羽で留守番するのはさみしいだろうと、ニワトリヘルメスを連れてきたジャンヌは知らないんだろうな。

 まさか、ニワトリに知恵の神ヘルメスが変身しているとは。

 蝶子からは鳥のエサだけを貰っているだろうから、ニワトリヘルメスにコンビニから買ってきたチキンをプレゼントした。


コケッ、コッコッ良いのか、アレス


「オウ、気にするな兄弟 ! 」


コッ、コッ、コッ、コケッコッいい加減、ヒエやアワ、キビは食べ飽きていたんだコケッ、コッコッコッ感謝するぞ、アレスよ


 旨そうに食べるニワトリヘルメスを見て、クラスメイトは複雑そうな顔をしていたが、ニワトリは元々 雑食だからな !

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