第155話 蝶子がヒロインだもん ! ①

【蝶子side】


 この間のレース、私の中のとアシュタロスと云う、おじ様が内緒話をしていたの。


〖ちょっと、蝶子 ! オバサンて、誰のことよ !

 私の事じゃないでしょうね。

 私は愛と美の女神アフロディーテよ ! 〗


 あぁぁ、もうウルサイなぁ~ !

 もう、何百年も生きているんだから、オバサンでも良いでしょう !


〖私の疑似人格の癖に私をないがしろにすると言うの?!

 貴女蝶子アフロディーテは、同一人物なのに何で私の言う事を無視するのよ ! 〗


 貴女アフロディーテから生まれたのかも知れないけど、蝶子の身体は蝶子のモノだもん !

 オバサンは、大人しく私の中で居眠りしていると良いんだわ !


〖私の疑似人格、分身とは思え無いくらい自分勝手な子ね !

 とにかく、アシュタロスとの約束だけは守ってよね !

 悪魔は契約が絶対なの !

 だから、……


 判りました ! 解ったから引っ込んでいてよ、オバサンアフロディーテ


 今日、私こと蝶子は成田空港に、とある娘を迎えに来ている。

 アシュタロスのおじ様から託された娘をウチで預かる為なのよね。

 この間のゴーカートレースで優勝したチームの内の一人で名前を『 ジャンヌ・ルーラ=オルレアン』と云う娘なのよ。

 アシュタロス…………アシュ様が言うには、ジャンヌ・ダルク、フランスの聖女の生まれ変わりでは無く本人だと言うのよね。

 彼女が魔女として火あぶりで処刑される前にアシュ様が彼女を救い、彼女を裏切った者とすり替えたと聞いたわ。

 姿だけを彼女ジャンヌ・ダルクに似せたから、まんまと牧師も民衆も騙せたと言っていた。


 聖書の神も酷いよね !

 と、思っていたら天使の一人がこうを焦っていたみたいなのよね。

 だから、聖書の神が全てを知った時には手遅れだったみたい。

 彼女の生き方に美しさを感じたアシュ様は、いち早く助けたけど、ジャンヌの聖書の神への信仰心は揺らがなかったと聞いたわ。

 あまりにも純粋過ぎる彼女を心配した聖書の神は天使に再び利用されることを恐れて悪魔であるアシュ様に預けた。

 冥界も天界も時の流れる時間が違う上に少し彼女が

 若返りしたのは、私たち日本人と一緒に生活することが彼女ジャンヌに取って良い経験に成ると思ったみたい。


 後、もう一つ頼まれたけど、無理無茶無謀だから情報を流すだけで納得して貰ったわ。

 それくらいなら良いよね、由利子先生も許して……くれるよね。



 ♟♞♝♜♛♚


 無事にジャンヌと合流出来たわ。

 あらかじめ日本に来る事が決まっていたのか、ジャンヌの日本語には違和感を感じない。

 生真面目な真面目ちゃん なら、やり辛いと思ったけど、意外と話が分かって安心したわ。


「私の生まれ育った村と雰囲気が似ていて安心しましたわ。

 ああ、神よ 感謝します ! 」


 突然、祈り出しちゃったけど、この娘 大丈夫よね。

 一応、日本の常識は勉強してきたらしいけど、の蝶子ちゃんは心配だわ。


 確か、ジャンヌダルクの出身地は、アルザス=ロレーヌでドイツの近くなのよね。

 ちゃんと調べている蝶子ちゃんは偉いよね。


「ねえ、ジャンヌはカトリックなのよね。

 だったら、ベジタリアンなの ? 」


 脳内お花畑のアフロディーテと違い蝶子ちゃんは頭脳派なのよね。


「かつては、そうでしたがベジタリアンでしたが から命に感謝しながら、肉や魚を食べるように諭されてから食べるように成ったので大丈夫です 」


 良かった、蝶子ちゃんは自分だけ良いと云うアフロディーテと違い、人の事も考えることが出来る良い子なのよね。


〖……ちょっと、蝶子 ! 私に何の恨みがあるのよ !

 神をデスるのも、いい加減にしなさい ! 〗


 ギリシャ神話を調べたら、オバサンアフロディーテは 浮気したり、ろくなことをしていないじゃない!

 蝶子の方が、ずっ~と常識人だもん !

 それよりも、今はジャンヌと話しているんだから黙っていてよね、オバサン !


〖……覚えておきなさいよ、蝶子 ! 〗

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