第154話 三学期 ⑥

【嵐side】


 寄りにもよって、今日は雪の中 マラソン大会が開催された。

 身体が冷えないようにジャージを着ているが、それでも寒い。

 さっさと表彰式を終わらせてくれよ !


 ハーフマラソンも10キロマラソンも俺達、中学生の出る幕は無くて東京を始め他県から来た大学生や社会人が上位を独占した。

 いくら、元神や元女神でも、今は只の中学生。

 漫画やアニメでもあるまいし中学生が大学生や社会人を抑えて優勝なんて出来る訳が無い !


 まあ、全員が完走出来ただけでも充分だよな。

 表彰式が終われば、由利子オバチャンのおごりで崑崙飯店で打ち上げをする予定だ。

 俺達が仲間内でしゃべっていると、


「ねえ、ねえ、君たちは由利子先輩の関係者だろう。

 僕たちは、由利子先輩の後輩なんだよ。

 もしかしたら、君たちが由利子先輩のかな ? 」


「「「違うよちげぇーよ ! 」」」


 俺、巧、ロッキーは、全力で否定した。


「ほら、彼処に居る双子が由利子オバチャンの娘だよ ! 」


 俺の言葉に由利子オバチャンの後輩達の目はテンに成っていた。

 まあ、無理無いか、見た目だけは美少女だからな、潮来姉妹は。


「それなら君たちは……

 どちらにしても由利子先輩の関係者なら解ると思うけど、僕たちは東京の国士無双大学の学生なんだ。

 良かったら、将来はウチの大学に来ないかい ? 」


 スカウトきたぁー !


「「「だが、断わる ! 」」」


 誰が、脳筋大学になんか行くもんか !

 俺は……俺達はなんだよ !


「ちょっと待ったぁー !

 君たちは、大江戸グループの大江戸兄妹なんだろう !

 だったら、ウチの金山学院大学の方が相応しいハズだよ ! 」


「いやいや、大江戸姉妹と潮来姉妹はウチの英理異徒エリート大学に来て貰うぞ !

 彼女たちは、中学生の全国模試でもトップランカーだ。

 最高学府たる英理異徒エリート大学こそが、彼女達に相応しい! 」


 俺達がマラソン大会にエントリーした途端に大学生のエントリーが増えたのは聞いてはいたが、俺達が目当てだったのか !


 ボソッ

「正確には、大江戸グループの#寄付金__・__#が目当てなのじゃ !

 近年、少子化て大学運営が苦しいから大学側から依頼されたのだと思うのじゃ ! 」


 由利凛が、ソッ と教えてくれた。

 俺達の身体が目当てじゃ無くて、大江戸家の金が目当てかよ !


 妹たちは理解していたのか、上手にかわしている。

 なんか、余計に疲れた気がするぜ !



 ♟♞♝♜♛♚


 由利子オバチャンが出て来たことで、大学生達は解散させられた。

 どうやら、大学運動部では由利子オバチャンは伝説の格闘家らしい…………深く聞くのは止めておこう。

 せっかくのメシが不味くなるからな。


 崑崙飯店に皆で来て、次々と注文しているのを雪蓮しぇれんさんが受けている。


妈妈まーまー(お母さん)、ワタシ達もお願いネ ! 」


 雪蓮さんの娘、恋花れんふぁちゃんが雪蓮さんを呼んでいた。

 一緒のテーブルには星奈や陽野芽が居る。

 六人はクラスメイトで仲が良いとのことだ。

 雪蓮さんの妹、月蓮ゆえれんさんと花蓮ふぁれんさんの娘たち、愛紗あいしゃちゃんと華凛かりんちゃんも一緒のテーブルに居るハズなのだが、料理を作っているお父さん天馬てんまさんから離れ無いようだ。


 星奈や陽野芽が恋花ちゃんにゲームの話をしているようだが……頼むからワガママ言わないでくれよ。

 二人でも大変なのに五人に増えたら、どうしようも無いぞ !

 幸い、恋花ちゃんは興味が無さそうだ。

 恋花ちゃんが行動しないなら、後の二人も安心だな。

 三人は一緒に行動することが多いらしいからな。


 やがて運ばれて来た料理を俺達は美味しく頂いた。

 当然、お残しはしなかったぜ !

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