第152話 チキチキゴーカート超レース ⑩

【嵐side】


 蝶子と陽野芽、星奈が『C級ライセンス』に合格したことを報告してきた。

 うん、知ってた。

 録画だったが、アゲハこと蝶子の配信を見ていたからだ。

 悔しいが、陽野芽も星奈もゴーカートの腕が良い事は認めるしかないな。

 子供は吸収力が凄いから仕方ないのかも知れないな。

 俺は大器晩成タイプだから、これから上手く成るから大丈夫だ…………たぶん。


 ところで蝶子の奴、配信サービスでいくら稼いでいるのだろう?

 本人には流石に聞け無いので、そういう『金』のことには目敏めざとい由利凛に聞いてみたら、かなり稼いでいるとしか教えて貰えなかった。

 まあ、由利凛だって人様の財布事情までは解らないよな。

 只、学園側から何か言って来そうなんだが、由利凛の話だと稼いだ金の半分くらいは慈善団体に寄付しているらしく、学園側も注意が出来ないらしい。

 何故なら、蝶子の寄付行為を県の行政機関も知っているらしく、知事や県議会が表彰を検討しているらしい。

 まあ、学園教師達も県議会や知事に恥をかかせる訳にはいかないだろうからな !

 しかし 神時代のアフロディーテより、よっぽど人間の蝶子の方が愛の女神らしいと思ったのは秘密だ。


 そういう訳て、今回の公式レースはチーム戦に出ることに成ってしまった。


 と蝶子、陽野芽、星奈が四人で一チームとして参加する。

 つまり、一人だけ成績が良くてもダメなんだ。

 四人の総合成績で順位が決まるレースなんだ。

 特に今回のレースは『アイテム戦』だ !

 スピード勝負と違い、アイテムを使いながら相手チームを妨害してリタイアやタイムオーバーにさせるのが目的だ。

 今回も長距離戦だから、タイムオーバーは1位ゴール後、10分に成っている訳だ。


 ちなみに妹たちは見学に回るらしく、観客席に陣取っている。

 だから、今一番警戒するべきチームは、アザゼル率いる悪魔堕天使チームだな。

 アザゼルの他は、頭から被る布で姿を隠している。


 ………… 一昔前の漫画かよ !



 ♟♞♝♜♛♚



 ピッ ピッ ピッ ピィーン !


 レースが始まる成り、アザゼルの仲魔の一人が蝶子に近付いて行った。

 そして被っていた布を外すと美男子が現れた !


「プレイヤーネーム『アッシュ』だね。

 良いのなんでしょう、蝶子は ! 」


 ニヤニヤしながら言うベル。

 コイツ、からかっているのか ?!


「んな訳あるかぁー !

 蝶子がを選ぶなら喜んで祝ってやるよ ! 」


 やっぱり、悪魔アシュタロト……堕天した元女神アスタルテだったか !

 ナルシスト同士、お似合いだから本気で祝うぞ。


 しかし、二言三言ふたことみこと言葉を交わすと離れて行った。

 仲良しに成る訳でもバトルする訳でも無い、予想外だ。

 それは、アザゼルも一緒らしくアシュタロトに文句を言っているようだが、平然としているアシュタロトに対してため息をしていた…………自由だな、悪魔。


 油断した !


 残りの二人が被っていた布を外して、陽野芽や星奈に近付いていく !


「嵐、早く二人を助けてあげて !

 ちょい悪オヤジの仲間みたいだから、ろくでもない奴だよ、きっと ! 」


 ベルがあわてて忠告してきた。


「言われんでも助けるに決まっている !

 アザゼルの奴、寄りにもよってベルフェゴール怠惰の熊マモン強欲の狐を二人に近付けるなんて許さないぞ ! 」



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔


【アザゼルside】


 おー、おー、軍神の奴アレス(嵐)、熱血主人公してるねぇ~。

 そんなにチビッ子達が心配なのかね。

 俺のことをにらんでいたが仕方ないだろう、悪魔なんだから !


 ベールゼブブが俺のお目付け役として送ってきた、アシュタロト、マモン、ベルフェゴール……

 どうせなら『金』を送れよ、ケチ悪魔め !


 恨むなら俺じゃ無く、金を送らずに悪魔を送って来たベールゼブブを恨んでくれや !

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