第151話 子羊たちの大冒険 ⑤

【ベルside】


 アゲハこと蝶子の圧力に負けてしまった。

 普通の人間のハズなのに、妙に逆らいずらいんだよねぇ~。

 まあ、嵐の周りの娘たちは 皆そうなんだけどね。


 そろそろ『C級ライセンス』の試験も最後の一つに成ってしまった。

 基本の試験は、全て合格した三人は嵐より確実に上手なんだけど……運転が綺麗過ぎるんだよね。

 クリーンプレイだけだと心配だよ、ボクは。


 最後のタイムアタックに参加するメンバーを発表前にチェックしたら…………居た、あのヒキニート三人組が !


 お母さんオモイカネで調べたらから三人のプレイヤーネームは判明している。

 ルフィー、キッド、ハーロック…………


 やっぱり厨二病だ……



 ♟♞♝♜♛♚



 ピッ ピッ ピッ ピィーン !


 スタートと同時にヒキニート達が、チビッ子達や蝶子に体当たりをしてきた。


 蝶子ちゃんは、体当たりを喰らってつらそうに泣き顔をしているけど……演技だね !


 一方、チビッ子達は上手く避けている。


 ボクは嵐の相棒の為にレースに参加出来ないから、見守るしか出来ない…………ボクが出るまでも無く、運営やボク以外のカーディナルが監視しているから不正は出来ないハズだけど、ラフプレイは合法ルールだからヒキニート達を責めることは出来ない……


 ハズなんだけど、蝶子ちゃんが生配信している画面にはアゲハのフォロワー達が、凄く非難しているコメントが沢山流れているようだね。


 あっ ! 特定班がヒキニート達、ルフィー、キッド、ハーロックのリアルを特定することを宣言した !


 陽野芽も星奈も運転に集中しているみたい。

 相棒のにゃん太郎もウッシーも助手席で寝ている。

 ……オカシイなぁ~、普通の猫と違っていろいろ改造しているのに。


 アッ ! ドンチャン号どん兵衛キツネから腕が出て来て、手榴弾をキッドの海賊船型ゴーカートに投げつけた。


 ドッカーン 💥


 キッドの海賊船型ゴーカートに命中して大破した。

 マストが折れながらも追いかけて来ている。

 ……ヒキニートの癖に根性あるなぁ~。


 ハーロックが水爆弾を投げて来た!

 ……だけど、陽野芽の隣で寝ていたハズのにゃん太郎が猫パンチで投げ返して、ハーロックの海賊船型ゴーカートが一時的にエンストして動け無くなった。

 どうやら、水爆弾がエンジンルームに直撃したみたいだね。



 一方、アゲハこと蝶子はルフィーの海賊船型ゴーカートから伸びて来たロボットアームから攻撃を受けていた。

 ロボットアームの手が蝶子のハンドルをつかもうとした時にガツン、とカートが揺れてロボットアームの手が蝶子の胸を触り掴んでしまった !


「嫌ぁーーー !

 まだ、誰にも触らせたことが無いのにぃー !

 ウワァ~ン、私もう お嫁さんに行けない~!」


 蝶子が(嘘)泣きを始めた途端に、ルフィーは『セクハラ』認定されたみたいで、ハラスメントコードに違反して強制退場に成った。


 アゲハの配信画面では、


 ルフィー死ね ! ルフィー許すまじ !ぜってぇ許さねぇー、ルフィー ! うらやまケシカラン!


 などのコメントで溢れていた。


 おーい、アゲハのフォロワーの皆、だまされているよ !


 あ~あ、これでアノ三人は終わったネ !



 ♙♘♗♖♕♔


【ドラゴン・ファンタジー運営チーム(チーフ)side】


 アゲハの配信が凄い勢いで視聴者が増えている。


 クソッたれ ! Ωオメガチームの奴ら、アゲハを取り込みやがった !


 そのせいか、Ωチームの配信が凄いことに成っている。


 否、Ωチームと云うよりΩチームのチーフである六甲山ろっこうさん 大河たいがが独断でやったのだろう。


 かつては、この俺、水道橋すいどうばし うさぎとは恋人同士だったが、別れた後は何かにつけて争ってくる。


「 名前が逆だったら良かったのにね ❤️」


 なんて、甘々な時期も有ったのだが……



「チーフ、何をボーットしているんですか !

 このままだと本当に『ゴーカート・チーム』にプレイヤーお客様さらわれますよ ! 」


 A子に言われて、ハッ とした。


「よし、あのグランドイベントを前倒しするぞ ! 」


 俺の掛け声に我がスタッフは、


「また残業だぁー !」


「アレはまだ半分も完成していないのに無茶苦茶だぁー !」


「彼女(彼氏)に何時に成ったら逢えるんだー!のよぉー!


 スタッフ達の怒号が響くが、それどころじゃ無いんだよ !

 このままプレイヤーが減り続くと配信停止に成ってしまうんだぞ !


 この『グランドイベント』で、逆転一発を喰らわしてやるからな !



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る