第149話 三学期 ⑤
【嵐side】
1位で結構、ゲームコインを貰った。
ドラコン・ファンタジーと違い、換金もゲーム内で飲み食いが出来ないから純粋にゴーカートのカスタマイズにかけることができる。
とりあえずは、俺のライダースーツとヘルメットを新調した。
俺がウキウキ・ラン、ラン、ランしていると恨めしそうに巧とロッキーが見詰めてくる。
「まあ、君たちも努力したまえ ! 」
俺の言葉に二人は、グッヌヌヌヌと悔しそうにしながら、
「「嵐のくせに ! 」」
と呟いていた。
勝てば官軍負ければ賊軍、とは良い言葉だな !
トボ、トボと背中を丸めて学園に向かう人を良く見たら、アザゼルだった。
俺達が、オヤツに食べている『干しいも』を羨ましそうに見ている。
由利凛が、アザゼルの前で干しいもを右に左に移動させると目線処か、顔ごと干しいもを追いかけていた。
「グゥゥゥゥ! 」
アザゼルの方から音が聞こえてきた。
「スマン、給料日まで後5日あるのにサイフの中身が、すっからかん なんだ。
ここまで給食で命を繋いできたが、土日は給食が無いから腹が減って仕方ないんだ !
だから、頼む !
その干しいもを少し分けてくれ! 」
妹たちの冷たい視線も何のその、プライドを捨てた姿に俺と巧、ロッキーは残りの干しいもをアザゼルに渡してやった。
「サンキュー、恩に着るぜ ! 」
足早に学園に入っていくアザゼルを見て、俺達の心は一つに成った。
ああいう大人には成るまい !
♟♞♝♛♚♜
朝のホームルームでは、ハーフマラソンの事で改めて説明があった。
水郷マラソンは、利根川沿いを走る平坦なコースで素人でも走り易いコースだ。
俺や巧、ロッキー、龍騎は、ハーフマラソンを
妹たちやマーズ、凪、テルは、10キロマラソンを走ることに決まった。
まあ、妥当な処だろうな。
最近、ゲームばかりしているせいか、由利子オバチャンの目線が痛い。
ここは活躍して、鈍って無いことを見せないと朝の鍛練の練習量が増えるから気合いを入れないとな。
ちなみに、天音姉ちゃんは大会実行委員会の手伝いをするとかで、マラソンを走ることはしない。
サボるの天才だな、日本神話最高神 !
♙♘♗♖♕♔
一方その頃、
【竜ヶ崎
菖蒲学園からメールが来た。
お祈りメールでありませんように !
神様な祈る気持ちでメールを開けたら……
教員採用試験の結果、菖蒲学園の採用の内定が決まったメールだった。
やったぁー !
後は、大学の卒論が無事に教授から認められれば卒業できるわ。
教師は大変そうだけど、いつまでも両親に頼るのはしたくない。
既に必要な単位は取ってあるし、春には私も先生に成れるね。
そう言えば、天音や嵐くん達は元気かなぁ~
きっと元気な姿で逢えるわね。
ドラコン・ファンタジーは、すっかり寂れて来たと天音からメールが来ていたし、最後に冒険してから次のゲームを探すのも楽しそう。
私は忘れないウチに、大好きなお兄ちゃんとお義姉ちゃん達に採用の内定を貰ったことを伝えた。
お父さん、お母さんにもメールを送ろうとしたら、直ぐにお兄ちゃん、お義姉ちゃん達からのお祝いメールが来た。
私は幸せだね。
大好きな人達に囲まれて生きて来て本当に良かった。
次は私が生徒達の幸せになる手伝いが出来れば良いなぁ~。
♟♞♝♜♛♚
【ドラコン・ファンタジー運営side】
駄目だ、ゲームの離脱者が戻るどころか減る一方だ。
「たっ 大変です、チーフ !
なっ !なんですとぉー。
「た 対策会議をするぞ !
直ぐにテコ入れをしないと取り返しがつかない事に成ってしまう 」
どうして、何故、何処で、間違えたのか ?
もう、無料ガチャも
こうなったら、
うぅぅ、これで しばらくは針のむしろ状態が続くのかぁ~
♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔
※作者より
私は高卒の為に大学や教員採用試験のことを想像しながら書いています。
申し訳ありませんが、矛盾などありましてもご容赦してくださいね 🙇
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