第144話 チキチキゴーカート超レース ⑤

【嵐side】


 そろそろ練習用コースに飽きてきたから『C級ライセンス』に挑戦することにした。

 まだ『初級ライセンス』の為に公式レースには出られ無いんだよな。

『C級ライセンス』を取る為には、幾つかのミッションをクリアしなければ成らないんだが、

 残りは今日のミッション、コースを2周すれば良いだけだ……制限時間があるけどな !

 ランダムで知らない奴ともレースをするんだが…………


「何で時間内にゴール出来ないんだよ ! 」


 思わず声を荒らげてしまった。

 もう、10回は挑戦しているのに時間内にゴールが出来ないでいる。


「嵐の運転が荒いからだよ !

 ドリフトは下手で毎回コーナーで周り切れずにブツカルし相手のアイテム攻撃に毎回引っ掛かるし、ブースターの使い処が悪いんだよ ! 」


「 グッ、痛い処を突きやがって、だいたい ライセンスを取るのにアイテムを使って妨害する必要なんて無いだろう !」


 俺とベルが言い合っていると、既に『C級ライセンス』を取った妹達が5人でやって来た。


「お兄ちゃんを応援しに来たのじゃ ! 」


 絶対に嘘だ !

 由利凛の奴は、ニヤニヤしていやがる !

 流石に明日菜や英里香、恵利凛は心配そうにしているが……パラスは、ボッー としている。

 長い長い間、冥界に居た為か感情の起伏が乏しいんだよな…………お兄さんは心配だ。


「おい、そろそろ始まるから用意しろ ! 」


「忘れるなよ、ライセンスを取るまではアイテム攻撃は無しだからな ! 」


 意外なことに、ロッキーや巧も制限時間以内にゴール出来ないで居る。

 今回のレースは順位は関係無いから、一時的に同盟を結ぶことにしたからだ。


 まだ、皆始めて間もないのに、ゴーカートはバラエティー豊かに成っている。

 練習用コースで稼いだポイントとログインボーナスで貰ったポイントでカスタムしたんだろうな。

 数台、リアルマネーで買ったと思われるゴーカートはあるが、社会人……大人が買ったんだろう。

 カッコいいスポーツカータイプやパジ◌ロのようなランドクルーザーなどに交じり昔のプロペラ飛行機タイプのゴーカートまである。

 ……まさか、飛んだりしないよな。

 金の力に物を言わせやがって、大人はキタナイ !

 …………そう言えば 神時代にユリリンが、


「大人の男と子供の男の子の違いは『玩具おもちゃの値段』ぐらいなのじゃ ! 」


 とか言っていたが、当たらずとも遠からずだな。

 俺が大人に成ったら同じことをしそうだ。



 ♟♞♝♛♚♜



 ピッ ピッ ピッ ピィーン !


 スタートダッシュをしようとした時に、プロペラ飛行機タイプのゴーカートが飛んだ !

 そして、何かを落として……


「「「アッ、バッ バッ バッ バッ バッ バッバッ ! 」」」


 俺、巧、ロッキーの三人は電気のような玉でしびれてしまった !


 三人共、それで すっかりスタートが遅れた上に、その後も飛行機ゴーカートにミサイル攻撃やオイル攻撃を喰らって、三人共タイムオーバーに成ってしまった。

 どうやら大人が乗っている用だが、文句を言ってやろうと三人で行ったら、向こうからフレンド申請があった。

 このゲームは安全の為にフレンド同士で無いと会話が出来ない仕様に成っている。

 当然、フレンド登録は 後から解除出来る為に、俺達は相手のフレンド申請に『Yes』のボタンを押した。


「残念だったな、ガキ共 !

 これは、この間の礼だから気にするな !

 まあ、次をがんばれや ! 」


「「「アザゼル ! 」」」


 あの悪魔アザゼルは、ニヤニヤ笑いながらゴーカートに乗り込み去って行った。

 アザゼルの相棒の目付きの悪いパンダ京◌パンダがアザゼルの真似まねをして笑っているのが、しゃくにさわる。


 ふっ ふざけんじゃねぇー !

 由利子オバチャンに密告したのは、俺達じゃ無く由利凛だろうが !


 復讐に燃える俺達は、次のレースで無事に合格して『C級ライセンス』をゲットした。


 あの悪魔め、覚えておけよ !


 ……この恨み晴らさずでおくべきか !


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