第143話 子羊たちの大冒険 ③

【ベルside】


 ボクの名前はベル !

 MMOゲーム、ドラゴン・ファンタジーに出て来る妖精さ。


 しかし、本当の正体は、スーパーコンピューター・オモイカネの一部、複数居るカーディナルの内の一体なんだ !



 ポーン ♪ ポーン ♪




 やっぱり来たね、嵐たちが来るには早すぎる時間に二人が来た。


陽野芽ひのめちゃん、やっぱり誰も居ないよ!」


「やったね、星奈せなちゃん!にーにー達に内緒でレースが出来るね!」


「わたし達だって『眠れる羊たちスリーピングシープ』の一員なんだから、ゴーカートライダーの運転が上手に成った処を、にーにー達を驚かせようね!」


お兄ちゃん龍騎は、また反対するだろうから、学校から帰って来るまでにあそんじゃおう~」



 ……ボクが、チビッ子達の前に立つと、


「「アッ、ベルだ !

 何で、このゲームに居るの ? 」」


「チビッ子達が来ると思って準備していたのさ ! 」


「案の定、コンバートせずに いきなりニューゲームを 始めたようだね !

 前のゲームからコンバートすると、いろいろ便利だから、一旦 前のゲーム『ドラゴン・ファンタジー』を選択して見てくれるかい。

 後は、ボクの方で手続きするから 任せてよ ! 」


「「 分かった ! 」」


 素直に信じて、一旦ログアウトする二人を見てから、カーディナル権限で準備していたゴーカートを用意した。

 あらためてコンバートした二人が戻って来た時には、二台のゴーカートが用意されていた。


「「ワァー、キツネさん とウサギさんのクルマだぁ~ 」」


 我ながら、可愛く改造出来たと思うんだよね !

 タヌキチと云い、ボクって天才かしら !


「 チビッ子達の従魔、ドンチャンどん兵衛キツネデューク マーダーバニーだよ。

 このゲームは、カーディナルが監視しているから安全だと思うけど、全世界と繋がっているから、チビッ子達の安全を考えて用意したんだよ !

 ところで、相棒は決まっているのかい ? 」


 二人は気に入ったのか、既にゴーカートに乗っていた。


「「猫ちゃんが欲しい ! 」」


「あくまでもゲームだからね !

 飼える訳じゃ無いから勘違いしないでね ! 」


 お母さんオモイカネのデーターバンクを漁ると丁度良い子が居た !

 データーからチビッ子達の相棒を創造してから、ロールアウトした。


「「ワァー、可愛い ! 」」


 スーパーコンピューターに記録されていた、昔 大江戸家の周辺を縄張りにしていたボス猫『にゃん太郎』と『ウッシー』を選んだんだよ !

 仲良くするんだよ ! 」


 二人が喜んでいるようで何よりだね。


「おい、おい、 ここはガキの来る所じゃ無いぞ !

 遊ぶゲームを間違えているんじゃないか ! 」


 三人の高校生くらいの子が絡んできた。

 この時間帯に来るとは、学校をサボっている悪い子達だね。

 何か悪さをしたら、カーディナル権限でアカウント停止にするからね !


 チビッ子達は震えるでも無く、ケロッ としている。

 それが気に食わなかったのか、尚もからんでこようとしたら、


『おい、ロリコン共 ! いい加減にしないと、MMOゲームから永久追放されるぞ !」


 声の方を見ると、ちょい悪風のお兄さんが居た。

 不利を感じたのか 三人組が立ち去ると、


「「ありがとう、 ! 」」


「グッ、おじちゃんは無いだろう !

 だ ! 」


 結構、面白い人だなぁ~。

 なんか、嵐に似ている気がするね。


「お嬢ちゃん達、の関係者だろう ? 」


 白々しく笑顔をする ちょい悪オヤジ……

 前言撤回、嵐と違い コイツ悪い奴だ !



 ♟♞♝♛♚♜



「勘違いするなよ !

 俺は悪い奴じゃないさ………………たぶんな ! 」


 ちょい悪オヤジは、ボクがBANしようとしたら、途端に言い訳を始めた。


 どうにも嘘ぽいけど、一応 話を聞いてあげることにした。







 あきれた !


 ちょい悪オヤジは、自分が堕天使 兼 悪魔で嵐たちも元・神様だと言う。

 そして、とある出来事の仕返しの為にゲームを始めたとか……


「厨二病 ?」


ちがーう違ーう ! 本当に本当なんだよ ! 」


「 とりあえず、チビッ子達に危害を加え無いなら見逃すけど…………ボク達は、何時でも何処でも見ているからね 」


 そう脅すと、


「まったく、どっちが悪魔か判らねえなぁ~」


「だけど、スパイスとして遊ぶなら見逃しても良いよ ! 」


 一瞬、目を大きくした ちょい悪オヤジ が、ため息をしながらログアウトして行った。



 ミッション・コンプリート !


 後で嵐に褒めて貰おうっと !

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